#2「楽譜にない音」でロングトーンで16ビートを感じさせる潮さん流アレンジ

こんにちは、しげです!
前回の「「鳴ってなくてもコードを感じさせる」PYLON潮さんに聞くアレンジの極意 #1」では、
潮さんのアレンジを題材に「鳴ってなくてもコードを感じさせるテクニック」や「コーラスの音選びのコツ」などをお伺いしました。
後半は、アレンジだけでなく、発声や歌い方について色々教えてもらったことをまとめたいと思います!
- アレンジの難易度は歌い手に合わせる
- 裏コードは歌いやすいラインに整えるのにも有効
- 目立っていい音、そうでない音を見極める
- ベルトーンは首を上手く使って調子をとるとキレイに鳴る
- ゴーストノートで、ロングトーンでも16ビートを感じさせる
PYLON 潮さん
1999年に結成された混声アカペラグループ「PYLON」のリーダー。
子どもの頃からハモりのある音楽が好きで、アコギやピアノ弾き語りを録音しては自分でコーラスを重ねて遊んでいた。
アカペラとの出会いは「山下達郎」
34歳のとき会社を辞めPYLONのリーダーとしてプロに転身。6人→5人→4人とメンバーが減る中で「シンプルでも説得力のあるアレンジ」を磨く。
AquaNote のんさん
関西を中心に活動する社会人女声アカペラグループ「Aqua Note」でトップを担当。アカペラの他にもたくさんの楽器を吹いたり吹かなかったり。AquaNoteの裏ボス笑
それでは、後編いってみましょ〜!
Q5.アレンジの難易度は変えるべき?
覚えやすく、ステージ上で余裕が出来るアレンジを心掛ける
この子は字ハモ得意やから多めにして、でもベルトーンは苦手やから出来るだけ一拍目になるように…とかしてるんですよ
ベルトーンとは…
各パートが和音の音を時間差で鳴らしていくことをいいます。
低い音から順番に鳴らしていくパターンが定番です。基本は各パート1回鳴らします。コードが切り替わるまでに1つのベルトーンを終了させます。
アレンジは、歌い手に合わせた難易度にしてあげるのも大事やね。
僕はみんなで集まって練習する時間を「歌えるようになるための練習」に使いたくないと思っているので、「音取りのしやすさ」をかなり気にするんですが、
ベルトーンは、割と上位クラスに入る「歌えるようになるために時間がかかるアレンジ」でした。
潮さんでも使いどころを考えるということは、やっぱり実は難しいテクニックなんじゃないかなと思います。
ベルトーンに限らず、歌い手さんに合わせた難易度のアレンジが大事ですね!
アレンジの難易度は、歌い手に合わせる
Q6.シとファ(全音3つ)は、どんな音?
はじめのシとファ、って全音3つ分よね。これって、すごく不安定な関係の2音なの。
全音3つは、とても不安定な関係
この不安定な2つの音が、それぞれドとミっていう安定した関係に解決するから、G7からCに進行すると、すごく解決感が出るねんな。
セブンスから安定した和音に解決すると感じる気持ち良さが、全音3つ(=トライトーン)によって生み出されていたなんて知りませんでした!感動!!
ちなみに、プロアカペラグループTRY-TONEもここから取っているらしいですよ!
不安定な2音が、安定した音に進行することで解決感が生まれる
Q7.”裏コード”っていつ使うの?
不安定なのに、代わりに使えるんですね。
コードの勉強をしていて出会った「裏コード」
特定の和音に対して、代わりに使っていい和音(例:C⇔F♯、G⇔C♯)ということは、なんとなく知っていたんですが、いまいち使いどころがわかっていませんでした。
歌いやすさ、横のラインの美しさを大切にする潮さん流アレンジの秘技を授かったような気がします。
裏コードは代わりに使っていい和音。歌いやすいようにラインを整えるのにも有効
Q8.ハモらないのは発声のせい?
おたべは、実声が強いメンバーと鼻に抜けた感じの響きが多いメンバーがいて、ハモって聞こえないことも結構あって…
発声がそろってないとハモって聞こえないのかなって悩んでるんですが、どうなんでしょうか?
そうでない場面とかなら、多少目立っても大丈夫やったり、その時々ちゃうかな。
皆さんも、どうしても特定のメンバーが浮いて聞こえる経験ありませんか?
ハモるという点では、実声だとどうしても声が溶けにくく、鼻に抜く発声のほうがいいのかなと感じていたので、目立ってもいい音があるというのは少しビックリしました。
その音が和音の中で目立ってもいい音かどうか、という視点でもハーモニーのこと考えたいと思います。
目立っていい音とそうでない音がある。3度は目立ち過ぎないように。
ウラ拍がアップ↑
で動かす。
tn↓ tn↑tn↓tn↑の感じね。
顔を上向けると力入りにくくて、必然的に軽い「tn〜」って歌えるから、ベルトーンがキレイに鳴りやすくなるよ。
自然な動きのなかでウラ拍担当の人は、首を↑のタイミングで発声することになるので、全体としてスムーズなベルトーンになる。
ギター弾く人なら、アルペジオのときにピックのアップダウン交互に弾くでしょ?
ベルトーンは、首を使って調子を取るとキレイに鳴りやすい
Q9.16ビートに聞こえるロングトーンの秘密
ここへ来て質問返し!笑
シャッフルを全部ベースが歌ったり、パーカッションがフォローしたりするのが一般的ですよね。
ロングトーンの直前に、喉で音じゃない音、ゴーストノートを鳴らすねん。
「んドゥン〜」の「ん」のとこやな。
一拍目はよく響くように歌ったりとかもしてる。
ロングトーンで、シャッフルや16ビートを感じさせるには、ゴーストノートを入れる
歌い方によって、ロングトーンでも8ビートを表現できる
終わりに
ピアノとかやと音が消えてくから、一瞬気持ち悪くてもいけてるように聞こえるやん。
サックスとかやと、鳴り続けるからおかしいところはおかしいって気づくはず。
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Twitterに投稿された「いのちの名前」から始まった、この「潮さんのアレンジを肴に飲む会」ですが、想像以上に濃い時間を過ごすことができました。
この他にも、歌うときに足閉じて立ってるほうがシュッとして見えてかっこいいとか、発声練習のレパートリーとか、とにかく面白くて興味深い話がたくさんでした!
今回のレポートは、これでおしまいとしたいと思いますが、もし第二回が開催されれば、また記事としてまとめてみたいと思います。
しげの次回作にご期待ください笑
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。