#1「鳴ってなくてもコードを感じさせる」PYLON潮さんに聞くアレンジの極意

一般的に5〜6名で演奏されることが多いアカペラ界において、4名で活動する(しかも、うち1名はパーカッション)プロアカペラグループをご存知でしょうか?
今回は、三声(ベース、リード、コーラス)でもかっこよく、シンプルでいておしゃれなプロアカペラグループ”PYLON”で活動されている「潮さん」に、アレンジの極意をお伺いしてきました。
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こんにちは、しげです!
この記事では、先日開催した「潮さんのアレンジを肴に飲む会」で学んだことをまとめたいと思います!
- コードありきで考えすぎない、まずは聞いてて気持ちいいか
- コーラスの音選び、大原則はリードを邪魔しない
- 1回聞いて面白いことは、2回聞いても面白い、1番と2番は同じでいい
PYLON 潮さん
1999年に結成された混声アカペラグループ「PYLON」のリーダー。
子どもの頃からハモりのある音楽が好きで、アコギやピアノ弾き語りを録音しては自分でコーラスを重ねて遊んでいた。
アカペラとの出会いは「山下達郎」
34歳のとき会社を辞めPYLONのリーダーとしてプロに転身。6人→5人→4人とメンバーが減る中で「シンプルでも説得力のあるアレンジ」を磨く。
AquaNote のんさん
関西を中心に活動する社会人女声アカペラグループ「Aqua Note」でトップを担当。アカペラの他にもたくさんの楽器を吹いたり吹かなかったり。AquaNoteの裏ボス笑
それでは、いってみましょう〜!
目次
「潮さんのアレンジを肴に飲む会」でやりたかったこと
きっかけは、潮さんのTwitterに投稿されたアカペラアレンジ。
すでにその投稿は削除されていますが「いのちの名前」を三声(リード+ベース+コーラス)でアレンジされたものでした。
※ブログ公開の許可はいただいてますが、楽譜とmidiは非公開とさせていただきます。ご了承ください。
潮さんから楽譜もmidiも公開の許可をいただきました!
練習やお勉強のために使ってくださいね、ステージやるときには潮さんに一言お声かけを(どうやって?笑)お願いします。
▼楽譜&midi
▼参考動画
…歌詞、あったんですね笑
是非一度聞いてみてください、これがまぁ〜おしゃかっこいい!!
早速丸パク(ry…
参考にさせていただこうと楽譜を拝見したんですが、
等々、教科書的にはNGなことがそこかしこにある!けど、そこには素晴らしいハーモニーが…
でも、答え知りたい…答え合わせしたい…
そんなわけで、ご本人にお願いをして「答え合わせ」をさせてもらうべく開催したのが
潮さんのアレンジを肴に飲む会
というわけです。
せっかくなので、いつもお世話になっている女声アカペラグループAquanoteの”のんさん”にもお声掛けして、3人で開催することになりました。
Q1.三度の音入ってないけどいいの?
これって、いいんですかね?
アレンジの基礎中の基礎が
「三度の音は抜いてはいけない」
いきなりその禁忌を犯し倒してるんです、潮さんの楽譜笑
潮さんともあろうお方が「三度」の大切さを知らないはずがありません。
けど、小節全体で見たら鳴ってるから、必ずしも一拍目になくても感じてもらえるから大丈夫ちゃうかな。
和音として同時になってる中に三度の音を入れないといけないと思っていたので、いきなりの衝撃!
これだけで音選びの幅が広がった気がしました。
必ずしも三度の音が鳴り続けてなくても良い
コードを”感じさせよう”なんて思ったこと、あります?笑
前の小節が耳に残ってるなんて考えたことない!これぞ潮アレンジ!笑
曲全体、フレーズとして音を捉えているからこそ、実際には鳴ってない音を使って、コードを感じさせることが出来るんですかね。
前のフレーズが耳に残っていれば、ベースだけでもコードを感じさせることができる
Q2.コーラスの音選びで気をつけることは?
こんなに特例あるなら、もう細かいこと気にせんでええんちゃうかな?って思ってしまったんですよね。
特にトップの音はよく聞こえるから、そこが気持ちいいラインになってるかは、めっちゃ大事。
無理やりコードの音を歌わせるラインより、聞いてて気持ちいいかが大切(特にトップ)
これまでコードにある音を使うべきだし、その音はリードとは別物として扱ってきた僕にとって、
聞いてて気持ちいいかどうかを優先するなんて、アレンジのことわかってない邪道なアレンジなんだと思っていました。
コードの残り香も使いながら、全体を見てバランスを取っていくのが、潮さん流なんですね。
これからはもっと「どう聞こえるか、どう感じるか」に気を配りながら音を選びたいと思います。
加えて、大原則、リードに近い音をコーラスが歌うのは避けましょう。
コードにある音でも、リードに近い音は避ける
Q3.アレンジでダイナミクスを出す方法は?
これってどうしてなんでしょう?
そこから徐々に盛り上がってるように感じるんですけど…
まさかの質問返し!笑
皆さんも、後半に向けて盛り上げたいって思うときありません?
僕の場合、リズムを増やしたり、歌うときにクレッシェンドにしてほしい、とか注文をつけてみたり…
和音が広がる印象を持たせたいところは、無理やりテンションコードを使ったりしていました。
けど、ここで一回落ち着かせてるから、次の小節が広がって聞こえるよね
ユニゾン→和音でハーモニーの広がりを演出。あえて流れを止めるのもあり
コードが変わるテンポを変えるだけでも盛り上がって感じる
Q4.アレンジで気にすべき点は?
面白いものは、むしろ2回3回聞きたいって思わへん?
いきなり違うアレンジを聞かされても、よくわからん!ってなってまうから、1番聞いて「あ〜こんな曲か」って思って、2番聞いてやっと印象に残る。
1回聞いて面白いことは、2回聞いても面白いんだから、1番と2番は同じでいいよ。
1番と2番は同じでいい。1回聞いて面白いことは2回聞いても面白い
#2に続く…
ここからアレンジの話だけじゃなく、歌い方の話、ステージでの立ち居振る舞い、音感トレーニング方法にまで話が及びました。
もうね、超楽しい!!
例えば「ベルトーンをうまく鳴らすコツ」とか「ロングトーンで16ビート感じさせる歌い方」なんて、本当はそれだけで有料コンテンツ。
「いのちの名前」の答え合わせをしてもらうための会でしたが、そこからどんどん話が広がって本当にいい会になりました。
後半のお話は「「楽譜にない音」でロングトーンで16ビートを感じさせる潮さん流アレンジ #2」をどうぞ!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。