【初心者でもわかる!】アカペラで移動ドでの音取りのやり方解説

アカペラ界でよく推奨される「移動ド」
この記事では、アカペラ初心者の方向けに、
- 移動ドってなに?
- なんでアカペラは移動ドが推奨されるの?
- 具体的な移動ド音取りのやり方
を解説します。
目次
この記事で書いてあること
- 移動ドは、曲の主音・キーの音をドとして、階名でドレミを当てはめる考え方
- アカペラでは「移調しやすい」「音の役割をつかみやすい」「音取りが早くなる」などの理由から、移動ドを推奨する人が多い
- やり方は、先に楽譜にドレミ(階名)を全部書いて歌う、を繰り返すだけ
- 慣れてきたら、主音だけキーボードで鳴らし、あとは頭の中のドレミ〜の距離感で音取りする練習をしていこう!
- 本気でトレーニングするには、ソルフェージュ教室に通うなどの方法もあるよ!
それでは、いってみましょう〜!
音名読み=固定ド、階名読み=移動ド
中学の音楽の授業で「音名」と「階名」というのを習ったのを覚えていませんか?
「音名」は、絶対的な音の高さ
「階名」は、ある音(主音、キーの音)を基準に相対的な音の高さ
を示します。
例えば、「ド〜レ〜ミ〜ド〜レ〜ミ〜」で始まるチューリップ。
音名読みでは、
いわゆるピアノの「ド」から始める場合は、ド〜レ〜ミ〜ド〜レ〜ミ〜
「ソ」から始める場合は、ソ〜ラ〜シ〜ソ〜ラ〜シ〜
となります。
では階名読みでは、どうでしょうか?
ピアノの「ド」から始める場合は、音名読みと同じくド〜レ〜ミ〜ド〜レ〜ミ〜ですが、
「ソ」から始まる場合も、ド〜レ〜ミ〜ド〜レ〜ミ〜となります。
なぜ、階名読みだとソ〜ラ〜シ〜ではなく、ド〜レ〜ミ〜となるのでしょうか。
階名読みでは、主音=「ド」と読む
階名=相対的な音の高さです。
「ド」を中心に、全音上を「レ」、全音2つ上を「ミ」というように、
「ド」との距離によってドレミを決める読み方を「階名読み」といいます。
先のチューリップの例では、
ピアノの「ソ」から始める=主音を「ソ」とする場合は、
ピアノの「ソ」を「ド」と読み替えて、その他の音をドレミに置き換えます。
表
「移動ド」とは、つまり「階名読み」のことなんですね。
言われてみれば「なんだ、そんなことか」と思いませんか?
調号を見れば、主音・キーの音がわかる!
どの音が主音・キーの音かどうか見分けるのは非常に簡単です。
こちらの記事にまとめているので、あわせて読んでみてください。
【初心者でもわかる!】曲のキーを楽譜を見ただけで一瞬で見つける方法
アカペラと移動ドは相性がいい?
バークリー音楽大学でも、この移動ドで楽譜を読み歌う「移動ド唱法」が推奨されています。
バークリー音楽大学
マサチューセッツ州ボストン市に本部を置くアメリカ合衆国の音楽大学である。1970年に設置された。 主にジャズおよび現代アメリカ音楽などの商業音楽全般を専門とし、大学のほかに専門学校も擁する高等教育機関である。
引用元:wikipedia
固定ドに慣れている生徒たちも、入学後すぐに移動ド唱法を習うんだそうです。
特にアカペラにおいては、なぜ「固定ド」よりも「移動ド」が推奨されるのでしょうか?
移調しやすい
大きな理由のひとつは「移調のしやすさ」
アカペラでは、リードボーカルやコーラスの音域によって半音上げたり下げたりする場面がありますが、
移動ドで音取りをしていれば、主音が変わっても音の距離感は変わらないので、同じ感覚で歌うことができます。
音の役割を掴みやすい
ドレミファソラシドには、それぞれ役割があります。
「ド」は主音。安定した印象を与えます。
反対に、「ソ」は不安定で、はやく「ド」に戻って安定したくなる!という特徴があります。
このように、ド〜シにはそれぞれ役割があるのですが、これらはすべて
主音の「ド」を基準に、相対的な距離感、つまり移動ドの考え方で決まっています。
音の役割については、こちらのサイトにとてもわかりやすくまとまっています。ぜひ参考にしてみてください。
同じピアノの「ソ(音名)」だとしても、安定した主音を担ったり、不安定な役割を担ったりすることもあります。
移動ドであれば、いちいち楽譜を読み替えなくても、それぞれの音の役割を掴みやすいため、
音名読みの「固定ド」よりも、階名読みの「移動ド」を推奨する人が多いようです。
音取りが早くなる
移動ドで音取りをするということは、音の距離感を覚えるということ。
それを何度も繰り返しているうちに、
「お、ここはミ〜レ〜ド〜(階名)なのね、はいはいOK♪」
といった具合に、
いろいろな曲を共通のものさし(音の距離感)で測ることができるため、音取りが早くなっていきます。
また、楽譜があって、主音・キーの音さえわかれば、midiがなくても音取りができるようになるのも、大きなメリットですよね。
具体的な移動ド音取りのやり方
それでは、具体的な「移動ド」の音取りのやり方について解説します。
step.1 その曲の主音を見つける
まずは、主音「ド」になる音を見つけます。
主音・キーの音の見つけ方がわからない方は、先ほども紹介した、こちらの記事を読んでみてください。
【初心者でもわかる!】曲のキーを楽譜を見ただけで一瞬で見つける方法
step.2 全ての音にドレミ(階名)を当てはめる
主音の「ド」がわかったら、それを基準に、ひたすらドレミファソラシド(階名)を楽譜に書きこみます。
これは、自分がリードの曲でも、ぜひやってください。
アカペラでは、リードボーカルもハーモニーの一部。
曖昧な音程では、全体のまとまりがなくなってしまうので、きっちり音取りする癖をつけましょう!
step.3 ピアノやキーボードで音を確認しながらドレミ(階名)で歌う
あとは、その楽譜に書いたドレミ(階名)で自分のパートを歌っていきます。
例えば、主音「ファ(音名)」の曲で
ファ〜レ〜ミ〜ファ〜(音名)で歌うところは、
ド〜ラ〜シ〜ド〜(階名)、といった具合です。
歌うべき音は、ピアノやキーボードで弾いて確認してもかまいません。
step.4 慣れてきたら主音だけ鳴らして音取り
キーボードでは、主音だけを鳴らして、他の音は鳴らさずに音を取る練習をしてみましょう!
先の例では、ピアノで「ファ(音名)」だけを鳴らして「ド〜ラ〜シ〜ド〜(階名)」と歌います。
はじめのうちは、ドからラの間に頭の中で「ド〜(シー)ラ〜シ〜」と、経過音を歌ってあげると歌いやすいかもしれません。
音が離れていればいるほど、距離感を掴むが難しいので、
頭の中で(ラーソーファー)ミ〜といったように、きちんと音階を歌ってあげるといいと思います。
やってるうちに、だんだん音感もよくなり、頭の中で音階を歌わなくても、一気に狙った音を出せるようになってきますよ!
おわりに
改めて調べてみると、固定ド・移動ドについては、とても奥が深いものでした。
色々な方が書籍や教室で説明されており、音感トレーニング教則本・アプリなど、たくさんあります。
ハモネプ出場グループのアレンジなどを手掛けてらっしゃる「かくたあおい」先生が、移動ド唱法(=ソルフェージュ)の教室もやられています。
様々な音楽性を重視し、全ての唱法
①ラララ唱法(音程重視)
②固定ド唱法(絶対音感・楽譜重視)
③移動ド唱法(相対音感・ハーモニー重視)
でやっています!中級クラスは、自分の得意な唱法を見つける
上級クラスは、自分の苦手な唱法を獲得する目的として、各やり方でやっています。 https://t.co/xy3lkOxQpl
— かくたあおいソルフェージュ教室 (@Aoi_Solfege) October 23, 2019
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この記事では、移動ドのポイントだけを絞ってご紹介いたしました。
もっと知りたい、出来るようになりたい、という方は、詳しく調べてみてはいかがでしょうか?
ちなみに…
記事中、ピアノの「ド」とか「ラシド(階名)」とか、音名と階名のドレミが混在して非常にわかりにくいですよね。
実は、アルファベット読みを使うと解決します。
ピッチパイプなどに書いてあるA〜Gまでのアルファベットは、それぞれドレミファソラシと対応しています。
ピアノのドはC、レはD、ミはE……ソがGで、ラはA、シがBです。
アルファベットは音名なので、曲の主音・キーの音が変わっても名前はかわりません。
Cがキーなら、Cからドレミファソラシド
Gがキーなら、Gからドレミファソラシド
ね?すっきりしませんか?
ぜひ、アルファベットでも音を読めるように練習してみてください。
この曲の調(キー)は、F#だから、F#が「ド」!
なんて会話、すごくアカペラーっぽいですよ!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。