アカペラグループの悩みのほとんどは「志向タイプ」の違いが原因?W・T・ガルウェイに学ぶモチベーションの正体

もっとライブ出ようよ!じゃないと意味ないよ!
楽しければいい!練習より飲み会しよ!
みんな上手くなる気ないのかなぁ…
アカペラグループを組むと、自分とメンバーのモチベーションの違いにモヤモヤすること、ありますよね。
実はそれ「アカペラに求めるものが人によって違うこと」が原因かもしれません。
この記事では、W・T・ガルウェイの著書「新インナーゲーム」を参考に、人がアカペラをやる理由を志向タイプ別に分類し、それぞれの特徴について、詳しく解説していきます。
それではいってみましょう〜!
目次
アカペラをやる理由は、3種類に分けられる
W・T・ガルウェイの著書「新インナーゲーム」によると、人が何かに取り組む理由は3つに分けられる、とされています。
- 上手くなりたい人
- 友だちが欲しい人
- 健康と娯楽を求める人
の3種類です。
とにかく上手くなりたい「上手志向」
この人たちは、とにかくアカペラが上手くなりたいと思っています。
自分がGOODであることを、自分に証明することがモチベーションに繋がります。
ガツガツ練習して、ライブに出て、大会にも出て、Theアカペラやってます!青春!!
みたいな人は、この「上手志向」といえるでしょう。
上手志向は、さらに3つのサブタイプに分けることができます。
完全タイプ
とにかく技術向上!上手くなりたい!のが「完全タイプ」
自分がどこまで上手くなれるかに興味があり、上手くなることこそが、自分がGOODであることを、自分に証明する方法です。
どこまでうまくなればいいの?それは、その人次第。その人独自の基準で「その人的に完全に上手くなった!」と感じたいタイプです。
競争タイプ
とにかく他人より上に立ちたい!そのために上手くなりたい!のが「競争タイプ」
極論、上手くなることよりも勝ち負けに興味があり、他人に勝つことこそが、自分がGOODであることを、自分に証明する方法です。
アカペラは対戦形式ではないので、そこまで多くないような気もしますが、皆さんのまわりではどうでしょうか?
イメージタイプ
とにかく上手いって思われたい!そのために上手くなりたい!のが「イメージタイプ」
本質的な上手さや勝ち負けよりも、スタイル・見た目に興味があり、
スマートに見られる、かっこいいと思われる、上手いと思われることこそが、自分がGOODであることを、自分に証明する方法です。
(僕は、割とこのタイプに当てはまるかもしれません…笑)
「上手志向」の特徴
上手志向に共通するのは、もっと上手くなりたい!という気持ちですが、それが強すぎると障害が出てくることもあります。
例えば、完全タイプが強すぎる人は、いつまでも理想と現実のギャップが埋まらず、それによって自分を責めたり、自分は何もイチバンになれない、と思ってしまうことがあります。
競争タイプの人は、常に上には上がいて、自分を負かす相手が出てきます。他人と自分を比較しすぎて、自然に能力を発揮することができず、負けることを怖れるようになります。
イメージタイプの人は、Aさんから見れば上手く見えるけど、Bさんにとってはそうでもない、といった状況に陥ります。自分が本当は誰かわからなくなったり、全員から褒められないと孤独を感じるようになります。
志向やタイプに優劣はありません。あくまで志向タイプの特性であり、どんな人でも上手くなりたい気持ち=「上手志向」を少しは持っているものです。
友だち100人できるかな?「友好志向」
この人たちは、とにかく友だちを増やし、保ちたいと思っています。
友情を得ることがモチベーションに繋がります。
私、〇〇さんと繋がってるんです!フォロワーめっちゃ多いです!大会優勝した人とバンド組んでるんです!
みたいな人は、この「友好志向」といえるでしょう。
サークルは楽しいけど、アカペラっていうより飲み会かなぁ〜、という人もこのタイプ。
友好志向は、さらに3つのサブタイプに分けることができます。
ステータスタイプ
有力者(Twitterで有名だったり、大会で優勝してる人だったり、、)と友だちになりたい!一緒に歌いたい!のが「ステータスタイプ」
上手いかどうかより、自分がどこに所属してるか、誰と歌っているかに興味があり、その社会での地位を上げることこそが、満足に繋がります。
一緒タイプ
友だちがみんなやってるから私もやる!のが「一緒タイプ」
仲間に会い、関係を保つ、友情の輪に入ることこそが、満足に繋がります。
きっかけはどうあれ、アカペラサークルに入ることになって、なんか楽しいし、サークルの規模も大きいし、目立たない範囲で楽しも〜、というはこのタイプですね。
それ自体は、全く悪いことではないと思います。
夫(妻)タイプ
夫(妻)、あるいは恋人や親友がやってるかは私もやりたい!のが「夫(妻)タイプ」
その人と一緒にいることこそが、満足に繋がります。
高校から付き合ってた彼氏(or 彼女)がアカペラをやるから自分もやりますって人は、このタイプかもしれません。
別れたあと、ごっそりモチベーションが無くなっちゃうのは、まさに「夫(妻)タイプ」ですね。
「友好志向」の特徴
友好志向に共通するのは、友だちがほしい!という気持ちですが、それが強すぎると障害が出てくることもあります。
例えば、ステータスタイプが強すぎる人は、その関係構築にたくさんのお金がかかることもあるでしょうし、仮に地位を獲得しても、それを失わないかを気にしてしまいます。
一緒タイプの人は、とにかく仲間はずれにされるのがいやです。仲間に入れてくれるコミュニティを上手く見つけることが最大の障害になります。
夫(妻)タイプの人は、相手と同じグループになれるかどうかまではわからない上に、技術レベルが違いすぎて、その差が負担になったりプレッシャーになることもあるでしょう。
そもそもアカペラをやれば、パートナーといい関係になり、孤独が解消されるかどうかもわかりません。
志向やタイプに優劣はありません。あくまで志向タイプの特性であり、どんな人でも友だちを増やしたい、上手い人と一緒に歌いたい=「友好志向」を少しは持っているものです。
楽しめればそれでいい!「健康&娯楽志向」
この人たちは、精神的&肉体的な健康や娯楽を求めています。
昔、合唱をやってたので久しぶりに歌いたいと思って趣味で始めたの!
みたいな人は、この「健康&娯楽志向」といえるでしょう。
健康&娯楽志向は、さらに3つのサブタイプに分けることができます。
健康タイプ
健康、バイタリティ、若さを保ちたい!のが「健康タイプ」
社会人の方に多いように思うかもしれませんが、大学で何もしないのが精神衛生上良くないから、なんとなくやる…のもこのタイプですね。
このタイプの人たちは、健康や心のリラックスを求めています。
娯楽タイプ
とにかく楽しければいい、全力で楽しみたい!のが「娯楽タイプ」
純粋な「娯楽タイプ」は少ないようですが、とにかく歌うのが好きで、歌ってるのが楽しい!という人は、このタイプかもしれません。
このタイプの人たちは、とにかくアカペラで楽しいと感じることを求めています。
習得タイプ
新しいことがしたい、出来なかったことが出来るようになるのが楽しい!のが「習得タイプ」
アカペラはやったことないし、ボイパとかいろんなことに挑戦したいです!
といったように、このタイプの人は学び、成長したいという意欲が強く、自分が進化すること自体を求めています。
「健康&娯楽志向」の特徴
健康&娯楽志向に共通するのは、アカペラを楽しみたい!という気持ちですが、それが強すぎると障害が出てくることもあります。
例えば、健康タイプが強すぎる人は、だんだん「本当にアカペラでよかったのか?」と疑問が湧いてきたり、同じモチベーションの人を近くに見つけられないと、長続きしない場合があります。
娯楽タイプ、習得タイプの人も、はじめはただ楽しんでいただけだったのに、少しずつ「上手くなりたい」という気持ちが出て、「上手志向」に飲み込まれることがあります。
また、ちゃんとやらないと…という気持ちがプレッシャーになり、アカペラを楽しめなくなってしまうこともあります。
志向やタイプに優劣はありません。あくまで志向タイプの特性であり、どんな人でもアカペラを楽しみたい=「健康&娯楽志向」を少しは持っているものです。
アカペラグループの悩みは、ほぼ「志向タイプ」の違いが原因
志向タイプは、どれか一つに限られるのではなく、いわばモチベーションに占める割合のようなものです。
人は誰しも、2〜3つ以上のタイプを混合して持っていると言われています。
はじめは「友好志向」強めでアカペラを始めたけど、だんだん楽しくなってきて「上手志向」も出てきた、
というように、時間が経つにつれて、変化していくこともあります。
アカペラにおいて、最も悩ましい問題の一つである「モチベーション問題」は、この志向タイプの違いによるところが大きいようです。
「ガチバンド組んで、もっともっとアカペラをうまくなりたい!大会とか目指したい!」
一見、上手志向に見えますが、うまくなりたい動機、大会を目指す動機が
一方は、とにかくもっとアカペラが上手くなって、トライトーンも歌えるし、リアルグループも歌えるし、初見でテンションコードも鳴らせるようになりたい「完全タイプ」
一方は、大会に出て上手いって思われたいし、かっこいいって見られたいし、サークルから一目置かれたい「イメージタイプ」
だった場合、どこかですれ違いが起こってもしょうがありません。
イメージタイプ的には「これくらい歌えてればOK♪」というレベルが、完全タイプ的には「もっとハモろう!まだ先がある…!」とぶつかってしまい、
結局なんか変な空気になる…みたいな話、よく聞きますよね。
上手くなりたいって言ってたのに、なぜかモチベーションが揃わない、揃わなくなってくるのは、こういった根源的な「志向タイプ」の違いが原因かもしれません。
そして、そのすれ違いに気が付かないまま、数ヶ月後には音楽性の違いで解散、なんてことにもなりかねません。
皆さんのまわりでも、似たようなこと、ありませんか?
おわりに
志向タイプを知ることで、相手への理解が深まり、よりよい距離感を見つけるきっかけになるかもしれません。
繰り返しますが、志向タイプに良い悪いはありません。
上手志向からしたら、友好志向の人たちが許せないこともあるかもしれませんが、だからといって攻撃するのは間違っています。
相手を尊重しながら、自分がやりたいことをやる。アカペラに限らずですが、それが一番大切なことではないでしょうか。
*
新インナーゲームでは、自分が持っている能力を最大限に発揮するための考え方やトレーニングも紹介されています。
人間の中には、自分で自分を批評し、何事も上手くこなそうとする「セルフ1」と、スイッチさえ入れば高いパフォーマンスを発揮してくれる「セルフ2」がいて、
「セルフ1」に惑わされず「セルフ2」に自分を任せる(いわば「ゾーン(あるいはフロー)状態」になる)ことが出来るようになれば、人は最も高いパフォーマンスを発揮する、
そして、その鍵は自分との戦い=「インナーゲーム」なんだ、という理論です。
本書は、元々テニスの技術向上を目的としたものですが、アカペラにも活かせるであろうことがたくさん書いてあります。
・ライブで緊張するのはなぜ?インナーゲーム理論で読み解く緊張のメカニズム
それぞれの志向タイプの違いを知って、無意味なケンカやすれ違いをせず、お互いを尊重しながら、楽しくアカペラに取り組んでいきましょう!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
書籍紹介
新インナーゲーム(W・T・ガルウェイ)
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