全くのアカペラ初心者でも自分でアレンジが出来るようになる方法 – 和音(コード)の知識不要

せっかくアカペラで歌いたい曲に出会っても、自分じゃ和音も聞き取れないし、アレンジしたこともない。
誰かに頼もうにもみんな忙しくて頼みづらい…
この記事は、そんなあなたのためのアカペラアレンジ・編曲ブログです!
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こんにちは、しげです!
僕はアカペラアレンジを始めたとき、音楽経験は全くありませんでした。今でも耳コピを使った正攻法なアカペラアレンジは苦手です。
でも、ある手順を踏むことで、普通にライブに出せる程度のアレンジであれば、一人で出来るようになりました!
この記事では、音楽知識がゼロでも、歌いたい曲をアカペラ譜にするための裏技的な手法をまとめたいと思います。
少し長文なので、必要なところをピックアップして読んでくださいね!
音楽的に正しい楽譜を書きたい、誰が歌ってもカッコよく、おしゃれになるようなアレンジが出来るようになりたい、という方は、残念ながらこの記事では満足できないと思います。
そんな方は「和声学」を勉強してみてください!
目次
この記事で書いてあること
- 編曲ソフトを手に入れる。迷ったら周りの人が使っているものを同じがベター
- バンドスコアかコードが書かれたピアノ譜を手に入れる(ネットでも買えます!)
- 最低限のルールに従って、コードの構成音をパート毎に割り振る
それぞれ詳しく解説していきます!
必要なものはたった3つ
アカペラのアレンジは、分解していくと実は非常にシンプルです。
音楽に詳しい人は色々細かいことを言いますが、めちゃめちゃざっくり言うと、
- 楽譜を書くための編集ソフト
- 原曲の和音(コード)
- ほんの少しの知識(音楽的なルール)
これさえあれば、楽譜は書けます!
慣れるまでは時間はかかるかもしれませんが、コツさえ掴めれば大丈夫です。
STEP①:編曲ソフトを用意する
世の中にはいくつか楽譜アレンジ用のソフトがあります。
アカペラ界では、
あたりがメジャーではないでしょうか。
iPadで使える「Notion」というソフトもあります。タッチパネルで操作できるので、新幹線での移動中にアレンジしたりも出来ますね。
編曲ソフトを使えば、ソプラノはこの旋律を歌って、アルトはこれで、テナーは、、というように、各パート毎に音を割り振って、アカペラ用の楽譜を作成することが出来ます。
一般的なソフトであれば、再生機能もついているはずです。
いきなり五線譜を買ってきて、頭の中で和音を鳴らしながらアレンジをするなんてことは絶対にできませんし、出来るようになる必要もありません!
迷わず編曲ソフトを手に入れましょう。
ソフトを選ぶ基準ですが、もしどこかのサークルに所属されているのであれば、周りの人に聞いてみてください。
どのソフトでも基本的な出来ることは同じなので、みんなが使っているものを使うのが良いと思います。
なにかしら編曲ソフトを手に入れる。迷ったら周りの人が使っているものにするのがベター
最近グループのメンバーに教えてもらったMuse Scoreというソフトをダウンロードしてみたんですが、これが本当にすごい!
再生機能はもちろん、完成した音源をmp3やPDFで出力できるなど、無料とは思えないほどのクオリティです。迷ったらこのソフトで間違いないと思います!
ダウンロードの方法や使用方法は、ネットで検索すればたくさん出てきますので、ご自身で調べて使ってみてください。
多少お金がかかる場合もあるかもしれませんが、無難にみんなが使っているものを使いましょう。
STEP②:アカペラにしたい曲のバンドスコアを探す
編曲ソフトの次は、アカペラにしたい曲のバンドスコアを探しましょう。
バンドスコアとは…
軽音楽部の人などが、バンドで曲をカバーする際に参考にするバンド用の楽譜のこと。ピアノ用の楽譜はピアノ譜、合唱用の楽譜は合唱譜と呼びます。
コードだけなら「曲名 コード」とネット検索すればヒットします。メジャーな曲なら大概はあるのではないでしょうか。
ただ、はじめのうちはこのやり方はおススメしません。
バンドスコアは、楽器バンドが演奏するための楽譜のことです。ギターやキーボードがどのような音を鳴らしているかがすべて楽譜に記されています。
一方、コード譜は、歌詞とコードが記されているだけ。
コード譜があればその曲がどんなコードをどの順番で鳴らせばよいかわかるので、それでいいじゃん!と思われるかもしれませんが、
コード譜にはその曲の調(ト音記号の横に書いてあるシャープやフラットのこと)やボーカルの旋律が記されていません。
アレンジをしたことがない人が、調やボーカルの旋律を聞き取って楽譜に起こすのはほぼ不可能です!正直、絶対出来ません!
なので、出来るだけバンドスコアを探してください。バンドスコアがない場合は、コードの記載があるピアノ譜がいいと思います。
どちらも、ネットでも買えますし、楽器屋さんにいけば大概あります。本屋さんによっては楽譜コーナーがあるところもありますよ!
各楽器がどんな旋律を弾いていて、和音(コード)の名前・進行がわかるバンドスコアを手に入れる。ない場合は、コードの記載があるピアノ譜でもOK
これだけは覚えてほしい「和音(コード)の知識」
和音(コード)とは
和音は、めーーーちゃめちゃざっくりいうと、
「複数の音の固まり」です。
もちろん適当な音を一気に鳴らせばいいわけではなく、一定のルールがあるわけですが、それぞれの和音には名前がついており、その名前のことをコードと呼んでいます。
一度、実際にバンドスコアやピアノ譜を見ながら探してみてほしいのですが、
五線譜の上に、Cとか、G7とか、Emとか、アルファベットと数字の組み合わせが書かれていませんか?
これが「コードの名前(コードネーム)」を表しています。
バンドスコアやコード譜には、どの順番でどのコードを鳴らせば良いかが記されていますので、そこに書いてある順番通りにコードの音を鳴らすことで曲が完成します。
難しそうに見えるギターだって、コードの順番が書いてある楽譜を買ってきて、その順番にコードの音を弾いているだけ。
基本的にアカペラも同じ仕組みで出来ています。
五線譜の上のアルファベットと数字の組み合わせがコード。コードを順番通りに鳴らすことで曲が出来ている。
コードの構成音を知る
和音(コード)には、それぞれの役割があり、アレンジを深く学んでいくと、これこれの和音の次はこんな和音がくるから~みたいになっていくのですが、
いきなりそこまで勉強する必要はありません。
アレンジに必要なのは、和音(コード)を構成する「構成音」がわかること。
まずは、コードの構成音の見つけ方を見ていきましょう。
ちなみに、ネットで調べれば、構成音一覧も出てくるので、調べながら作るやり方でもOKです(かなり時間がかかるし、いつかは覚えるほうがいいのでオススメはしませんが…)
コードの構成音の見つけ方①:根音(ルート音)を見つける
コードの名前は楽譜に書いてあるので問題なくわかりますね。
ではその構成音はどうやって見つけるのか。
まずは、根音(ルート音)と呼ばれるコードの基礎になる音を見つけましょう。
コードの名前で大文字のアルファベット=ルート音です。
コード名:Cのルート音はC(=ド)
コード名:Gのルート音はG(=ソ)
簡単ですね!

DmやA7と、大文字のアルファベットの後ろに色々くっついてもこのルールは変わりません。
Dmのルート音は、D(=レ)
A7のルート音は、A(=ラ)
このルート音から半音ずつ数えて何個目の音が必要かを覚えておくことで、コードの構成音を見つけ出します。
コードの名前で大文字のアルファベット=ルート音
コードの構成音の見つけ方②:メジャーとマイナーの法則を覚える
メジャー(長調)とマイナー(短調)の違いについて、ここでは詳しくは説明しませんが、
- CやGのように、mが後ろについていないものを「メジャー」
- DmやAmなど、後ろに小文字のmがついているものを「マイナー」
- Bm-5など、後ろにm-5がついているものを「マイナーフラットファイブ」
といいます。
一般的にメジャーは明るい和音、マイナーは暗い和音と言われていますが、とにかくアレンジできるようになるだけなら、この違いについて深堀する必要はありません。
読み方(○m=○マイナー、○m-5=○マイナーフラットファイブなど)がわかっていて、
種類によって「構成音の法則が変わるんだ」ということだけ覚えていれば十分です!
メジャーの場合(ルート音から0-4-7個目の音で構成)
C(メジャー)を例に説明します。
Cのルート音は、C(=ド)ですね。
メジャーの場合は、このドを0として、半音4つ目と7つ目の音を重ねます。
ピアノやキーボードの鍵盤をイメージして、出来れば実際に数えてみてください。
ド=0★
ド♯=1
レ=2
レ♯=3
ミ=4★
ファ=5
ファ♯=6
ソ=7★
ソ♯=8
ラ=9
ラ♯=10
シ=11
ド=12
(★がついている3つの音を同時にならしたものが、Cのコード)
コード名:Dなら、レから数えて047(レ・ファ♯・ラ)を鳴らします。
メジャーの和音(コード)は、0-4-7で構成されている
マイナーの場合(ルート音から0-3-7個目の音で構成)
続いて、〇m(マイナー)の和音についての説明です。Amを例に説明します。
Amのルート音は、A(=ラ)ですね。
マイナーの場合は、このラを0として、半音3つ目と7つ目の音を重ねます。
ラ=0★
ラ♯=1
シ=2
ド=3★
ド♯=4
レ=5
レ♯=6
ミ=7★
ファ=8
ファ♯=9
ソ=10
ソ♯=11
ド=12
(★がついている3つの音を同時にならしたものが、Amのコード)
たったこれだけで、3和音の構成音を把握することが出来ます。
マイナーの和音(コード)は、0-3-7で構成されている
マイナーフラットファイブの場合(ルート音から0-3-6個目の音で構成)
稀に〇m-5(マイナーフラットファイブ)という和音が登場します(例:Bm-5)
この場合は、0-3-6と音を重ねてください。そうしょっちゅう出会う和音(コード)じゃないので、それほど重要視する必要はないと思います。
〇m-5は、マイナーフラットファイブと読み、0-3-6で構成されている
コードの構成音の見つけ方③:4和音は、ネットで調べる
はじめは「メジャーは0-4-7」「マイナーは0-3-7」「マイナーフラットファイブは0-3-6」という大原則を覚えて、基本の3和音でアレンジを完結させてもよいと思います。
が、バンドスコアを見ていると、メジャー・マイナー以外の和音、例えば○sus4(サスフォー)など、
変わった和音や4種類以上の音を使った和音(コード)に出会います。
その場合は、ネットで構成音を調べましょう。
例えば、〇7(セブンス)にしたいときは、オクターブ上の0から半音2つ低い音(0-4-7--2)を乗せるなど、色々なルールがあるのですが、全部は覚えられません。
また、5種類以上の音を使った和音となると、人数の関係ですべての構成音を歌えないケースも出てきます。
始めのうちは、基本のメジャー・マイナー・たまにマイナーフラットファイブを優先して使うこと、5種類以上の音を使う和音は一旦無視して基本の3種類の音で構成された和音に直してしまうのがいいと思います。
変わった名前の和音(コード)は、構成音をネットで調べる。5種類以上の音を使う和音は無理に使わない
この他にも、アレンジに必要な最低限の和音(コード)の知識について、こちらの記事にまとめています。ぜひご覧ください。
【和音(コード)ってなに?】アカペラ楽譜を作るのに必要な最低限の知識まとめ
STEP③:コードの構成音をパート毎に割り振る
コードの構成音の見つけ方がわかったところで、早速編曲ソフトで楽譜を作っていきます。バンドスコアを見ながら、コードの構成音を各パートに割り振りましょう。
具体的な手順は、
- ト音記号とベース用のヘ音記号のパートを用意
- バンドスコアを見ながら調号をつける(シャープとかフラットとか)
- メロディ(メインボーカル・リード)を打ち込む
- コードを見ながらベースを打ち込む
- コーラスにコードの構成音を割り振る
こんな感じです。
まずは、リードを打ち込む
①~③までは、とりあえずバンドスコアの言うとおりにしましょう。
調号のつけ方は編曲ソフトによって異なりますので、各自で調べてやってみてください
調号と臨時記号は異なります。調号がついた音は、曲を通して常に♯あるいはフラットになりますが、臨時記号は、その小節内のみ効力を発揮します。
リードの音は、バンドスコアに書いてある音と同じ音で問題ありません。
ト音とヘ音のパートを用意し、調号をつける。まずはリードから打ち込む
コードを見ながらベースを打ち込む
ベースは、コードの構成音の中で根音(ルート音)を歌います。
先ほどのコードの構成音の見つけ方を思い出しながら、バンドスコアに書いてあるコードのルート音を打ち込んでいきましょう。
リズムパターンもバンドスコアを参考にするといいと思います。
場合によっては、バンドスコアのベースパートをそのままコピーすると、人間業では不可能な旋律になる場合もあるので、
その時は音だけ拾って(あるいはコードのルート音を歌うようにしておいて)、リズムは自分で考えるやり方がいい時もあります。
また、ルート音を歌わせにくいなぁ…という場合、
5度の音(ルート音から数えて半音7つ目の音)を歌ってもOKです!
細かい理屈は割愛しますが、ベースは基本ルート音、あるいは5度を歌うというふうに覚えてください。
ベースは、根音(ルート音)か5度(ルート音から数えて半音7つ目の音)を歌えばOK
リズムはバンドスコアを参考にしつつ、難しければオリジナルで作ってみる
コーラスにコードの構成音を割り振る
最後に、コーラスパートを作ります。先ほど見つけた構成音を各パートで分担すればOKです。
ただし、注意点が3つあります。
- 3度の音は誰かが歌う
- 歌いやすい音域で作る
- 音の流れをキレイにする
それぞれ見ていきましょう。
3度の音は誰かが歌う
アレンジをする上で、とにかく最低限押さえたいルールが「3度の音は誰かが歌う」です。
メジャーなら「0-4-7」の「4」の音
マイナーなら「0-3-7」の「3」の音
マイナーフラットファイブなら「0-3-6」の「3」の音
が、3度の音です。
常に鳴っている必要はありませんが、1小節の中で必ず誰かが歌うように意識して割り振ってください。
3度の音は抜いてはいけない
歌いやすい音域で作る
高すぎる、低すぎる音は、仮に歌えたとしてもハーモニーを作りにくく、アカペラに向かない場合があります。
- ソプラノは、高くても上のE
- バリトン・テナーは、低くてもF
- それによらず、歌う人が歌いにくい・出しにくい音域は使わない
これを意識して作りましょう。
特にソプラノは聞こえやすいパートなので、高い音(上のD~E以上)がずっと鳴っているのは避けたほうがベターです。
高すぎる音・低すぎる音は避け、各自が歌いやすい音域で作る
音の流れをキレイにする
ドの音を歌ったアルトが次にソの音歌うとなると、ちょっと音が飛んでますよね。
音が飛んでいると、どうしても歌いにくくなってしまいます。
出来れば上下2音(ドが基準ならラ~ミの間)くらいが歌いやすいんじゃないかと思います。
歌いやすい楽譜のほうが、練習も楽しくなるので良いことづくめです。
あまり音が飛びすぎないように注意する。基準は、上下2音程度
おわりに
この記事では「編曲ソフトとバンドスコアを使って、アカペラ譜を作る手法」をご紹介しました。
きちんとした音楽理論を色々無視してる部分はありますが、
全く音楽経験がなかった僕が、なんとかして自分でアカペラアレンジをするために使った裏技的手法です。
まずは一度、この記事を参考にしながらアレンジを1曲書いてみてください。
きっと、もっともっと和音(コード)や音楽理論のことを勉強したくなると思います。
その時に改めて、きちんとした理論を勉強してみましょう!
そのほうが身につくのも早いし、楽しいですよ!
わからないところがあれば、コメント欄やお問い合わせフォームから、なんでも気軽にご相談ください!
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僕が尊敬する4声のプロアカペラグループPYLON。そこでアレンジを担当する「潮さん」にアレンジについてのお話をお伺いすることが出来ました!
3度の音は絶対必要なの?どんなことを気にするといいの?など、貴重なお話が詰まった記事です。よければ参考にしてみてください!




ここまでお読みいただき、ありがとうございました。