アカペラライブを盛り上げる基本の考え方 – アカペラ初心者向け5つのポイント

「アカペラのライブって、ステージングとかMCとかどうしたらいいかわからない…」
アカペラでライブに出るようになると、誰もが通る悩みの一つですよね。
この記事では、学生時代からステージを盛り上げることだけを考え、年間100本のライブを観て、プロのステージを研究してきた僕が考える
ライブを盛り上げるためのポイント
について、まとめたいと思います。
ざっくり言うと、以下の5つです。
- 上手さより”伝わる”かどうか
- ハーモニーよりも”リズム”
- ステージングの基本、”立ち位置と歌い姿”を意識
- ”MC”で上手く魅せる
- とにかく”可愛げ”が大事
それでは早速見ていきましょう!
目次
なぜあなたのアカペラグループのライブは盛り上がらないのか
皆さんは、ライブが盛り上がるためには、どんなことが必要なのか考えたことはありますか?

そりゃ当然、上手さ!勢い!どれだけハモってるかどうか!に決まってるやろ!
…本当にそうでしょうか?
これは間違いではないんですが、僕は上手さやハモってるかどうかは、盛り上がるための絶対条件ではないと考えています。
例えどんなにハモっていたとしても、いまいち盛り上がりに欠けるライブってありますよね。
アカペラのライブは”ハモっていれば盛り上がる”のではないのです。
では、盛り上がるためにはどうすればいいのでしょうか。
1. 上手さより”伝わる”かどうか
ライブが盛り上がっている状態というのは、自然に拍手や歓声が起きたり、自分たちが求めている反応が返ってくる状態のことです。
では、そのために必要なことはなんなのでしょうか?
結論から言うと、”自分たち(演者)がやりたいことがお客さんに伝わっているかどうか”です。
歌っている人たちが、何をやってるのかよくわからなくても、お客さんは曲が終わればとりあえず拍手もしてくれるし、演者が求めさえすれば一応手拍子もしてくれます。
当然ですよね、ライブハウスにいて、演者に手拍子をしてくださいってお願いして全く何もしてくれないお客さんなんて見たことがありません。全員とまではいかずとも、一応はみんな応じてくれると思います。
イマイチ盛り上がっていないなと感じる時の拍手・手拍子は、まさにこのとりあえず手拍子、とりあえず拍手です。
とりあえず拍手からの脱却を目指すのであれば、まずは”自分たちがやりたいことが相手に伝えること”を、とにかく大事にしましょう。
お客さんに手拍子をしてほしいときに、手拍子をしてほしいということが伝わるからこそ、ライブが盛り上がります。
切ない気持ちになってほしい、ちょっと面白いと思ってほしい、そういう想いが伝わり、共感してもらえたからこそ、とりあえずでない本物の手拍子、拍手がもらえます。
自分たちがどんな音楽をやろうとしていて、どんな風に歌いたくて、どんな気持ちになって欲しくて、どう手拍子して欲しいのかが伝わることこそが、ライブを盛り上げる第一歩なのです。
ライブを盛り上げるコツ:1曲の中で伝えたいことは1つに
自分たちがやりたいことをうまくお客さんに伝えるためには、伝えたいことをひとつに絞る必要があります。
ライブに慣れていない人ほど、伝えたいことがはっきりせず、色んなことをやろうとしてしまいますが、人は一度にいくつもの情報があると、情報を処理しきれないため

何をしたらいいのかよくわからない…
という状態に陥ります。
そうなるとお客さんはノッてこないし、もちろん気持ちも動きません、感動もしません。
自分たちがこのライブ、このステージ、この曲、この歌詞、この和音を聴いて”どういう気持ちになってほしいのか”を一つに絞り、できる限り明確にしましょう。
ライブがイマイチ盛り上がり切らないグループは、このビジョンが明確になっていない場合が非常に多いです。
聴き終わってからの感想を想像できるくらいハッキリさせて、はじめてちょうどいいくらいです。ぜひ一度、グループで話し合ってみてください。
2. ハーモニーよりも”リズム”
皆さんは自分のグループの練習の時、ハモりの練習から始めてしまっていませんか?
僕もはじめはそうでした。一般的なアマチュアアカペラグループはどこもそうだと思います。
でも実は、プロは必ず”リズム”から練習を始めます。これは面白いことに、どのアーティストのワークショップに行っても絶対そうです。
「アカペラ初心者が知っておきたいアカペラがうまくなる3つのコツ」でも触れていますが「メロディやハーモニーのない音楽はあるが、リズムのない音楽は存在しない」という言葉があるくらい、リズムは音楽のベースであり基礎です。
アフリカの民族音楽(テレビでたまに流れますよね)なんかは、歌詞もメロディもハーモニーも全くなく、リズムしかありません。
しかし、そのリズムだけでみんなの気持ちは一つになり、時に豊作を願い、時に雨乞いをし、時に凱旋帰還を祝うことが出来ていますよね。
リズムは、人間にとって、そのくらい伝わりやすいものなのです。
リズムがはっきりしていれば、お客さんもノリを感じやすく、共感も得やすくなります。自然に抑揚もつくので、盛り上げたいところ、落ち着けたいところが伝わりやすくなるでしょう。
逆にリズムがはっきりしない音楽は、どこかノリにくく、気持ちよく手拍子も出来ません。どう感じて欲しいかが伝わりにくいので、お客さんがノッてくることもありません。
私見ですが、せっかくノリの良い曲を歌って盛り上げようとしているのに、イマイチ会場が盛り上がらないグループは、ハモりよりも”リズム”が甘いことが原因である場合がほとんどです。
「リズムは必要不可欠であり最強の武器」ということを覚えておいてください。
ライブを盛り上げるコツ:コーラスパートこそ、リズムを意識する

私はコーラスパートだから…
と、思ったそこのあなた。
お客さんは皆さんのアカペラステージを、各パートごとにバラバラに聴いているでしょうか?
よほどのアカペラジャンキーでなければ、全体で鳴っている音を聴いて感動したり、曲の雰囲気・空気感によって思わず拍手をしてしまったり、涙を流したりしているはずです。
曲全体の雰囲気を作りやすく、自然に耳に入ってくるコーラスパートだからこそ、コーラスがリズムに乗れているか、リズムを作れているかは全体のサウンドにとてもとても大きく影響します。
リズムはボイパとベースに任せて、コーラスはハーモニーだけ考えるのではなく、むしろコーラスこそリズムを意識しましょう。
また、リズム練習をすると縦が揃うので、歌い出しや歌い終わりの処理が統一され、ハモりやすくなります。騙されたと思って一度やってみてください。
リズムのない音楽は存在しません。
必ずグループ全体で取り組むようにしましょう。
3. ステージングの基本、“立ち位置と歌い姿”を意識
さて、次は”ステージング”です。
上手いグループ、盛り上がるグループは、音を消していても、どんな曲を歌っているかわかります。
伝えたいこと(どんな曲なのか、どんな気持ちになって欲しいのか)が、五感を通じて届いてくるのです。アカペラに限らず、良い歌い手さん・音楽家はみんなそうなっています。
例えばオーケストラの指揮者だって音は出していませんが、その音楽の一部だと思いませんか?その人がいないとその音楽は成立しないわけですし、指揮を振っている姿ってかっこいいですよね。
ピアニストの弾き姿だって、アマチュアのピアニストと世界的なピアニストでは、大きな違いがあります。上手な人は、手先だけでなく体全体でピアノを弾いているように見えます。
人は視覚でも音楽を感じる生き物。ステージングは、人に対して視覚的に音楽を表現するための技法なのです。
決して、ダンスや振り付けなど”グループ芸”のことをステージングというのではありませんし、ネタバンドだけが考えれば良いものではありません。
ライブを盛り上げるコツ:立ち位置は露骨に
ステージングのひとつに、リードが一歩前に出るというものがあります。
これ自体は非常にオーソドックスかつ効果的なステージングなんですが、より効果的に演出するにはコツがあります。
リードが大きく一歩前に出ると同時に、コーラス隊が半歩後ろに下がるのです。
そうすることで、舞台上の立ち位置がよりクリアになり、お客さんの視点をリードに集めることができます。
視覚的に前後を作り出し、立体的に魅せることで、音楽的にも立体感を感じさせることができます。
とにかくお客さんに”伝わること”が大切なので、ちょっとだけ前に出るのではなく、露骨に、かつコーラスも見え方を意識して動きましょう。
ライブを盛り上げるコツ:歌い姿や歌い顔もステージングのひとつ
アカペラでも、パワフルに聞こえて欲しいなら、パワフルな顔で歌うべきだし、元気な曲は元気に歌うべきです。
はじめは恥ずかしいかもしれませんが、ステージに上がるからには、アマチュアだってかっこよく聞こえて欲しいなら、かっこつけて歌っていいんです。極論、なにもしないことさえひとつのステージング。
演歌歌手の八代亜紀は、悲しい曲は”あえて”笑って歌うらしいですよ。
ぜひ、あなたの好きなグループやイメージに合うグループの歌い姿を研究してみてください。
音を消していても、どんな曲を歌っているかわかるくらいのステージング(=歌い姿)が出来れば、ハモっていようがいまいが、お客さんは自然にあなたの音楽にノッてくれるはずです。
4. ”MC”で上手く魅せる
歌以外が音楽の一部になるのは、ステージングだけではありません。
曲間の”MC”も非常に大切な要素です。
歌が始まったら、もうその音楽に身を任せて練習通り歌うしかないので、
勝負は、歌が始まる前に決している
とさえ、いえるかもしれません。
人は何事にも心の準備が出来ているほうが安心する生き物なので、きちんと準備をしてもらったほうが、あなたの想いはお客さんに届きやすくなります。
いくらライブハウスでのライブと言えど、いきなり歌い始められたらびっくりして、歌が全然入ってきませんよね。
あえてそういう演出をする場合もありますが、慣れてからのほうがいいと思います。
まずはきちんとお客さんに心の準備をしてもらうことを心がけましょう。
適当にメンバー紹介をして、では最後の曲です…は、めちゃめちゃもったいないで!
5. とにかく”可愛げ”が大事
最後に伝えたいのは、ライブに出る時の心構え。
ライブハウスでライブをする場合、大概は500円なり1,000円なりチケット代を払います。このお金って、何に払っているんでしょうか。
ライブハウスの会場費とか人件費とかそういうことではなくて、なぜわざわざお金を払ってあなたのライブを見に来てくれるのか。
僕は”応援したいという気持ち”と”非日常の体験”にお金を払っているんだと思っています。
なぜそう思うのか、非日常の体験てなに?については、別の記事で触れますが、少なくとも”上手なアカペラ””高いレベルの音楽”にお金を払っているんではないということは、確信を持っていえます。
でないと、アカペラ友だちのデビューライブを、わざわざお金を払って見に行くでしょうか?
僕たち上手くないので、、、ごめんなさい、下手くそなんです、、、
と、むやみやたらにへりくだるパターン。これがいっちばんだめ!最悪!!
来てくれた人たちの中には、もしかしたらあなたのグループを見に来たわけではないお客さんもいるかもしれませんが、その人たちも、ライブ、時間にお金を払って、体験を買ってくれているのです。
それなのに、自分達は下手だからと保険をかけて歌うのは失礼ですし、全然非日常じゃない!
せっかく応援しに来てるんだから、

他のグループみたいに上手くは歌えませんが、この曲はこんな曲なんです!大好きなんです!精一杯歌うので聞いてください!
という気持ちが伝わるだけで、好感が持てます。可愛げがあって、応援しようと思います。
精一杯非日常を演出しようとしていることに、お客さんが共感して好感を持ってもらえれば、お客さん側も一緒になって盛り上がってくれます。だって、お客さんも非日常を感じたいと思っているから!
上手いグループが歌っていた曲をそれっぽく真似して、きどったMCでいくら無理やり盛り上げようとしたとて、それは他人のふんどし。ファンは増えません。
今のあなたを精一杯ステージで表現しましょう。あなたのその気持ちにこそ、お客さんは共感し、好感を持ってくれる。そういうライブこそが盛り上がるのです。
安心してください、上手くいかなくても誰も責めたりしません。恥ずかしがってもじもじしてるほうがよっぽど興ざめ。目一杯盛り上げようと頑張っているグループのほうが、可愛げがあって絶対好感が持てますし、絶対盛り上がりやすくなりますよ!
まとめ
いかがでしたか。アカペラライブを盛り上げるための5つのポイント、参考になったでしょうか。
それでは本記事のまとめです。
- 上手さより”伝わる”かどうか
- ハーモニーよりも”リズム”
- ステージングの基本、”立ち位置と歌い姿”を意識
- ”MC”で上手く魅せる
- とにかく”可愛げ”が大事
今回はアカペラライブを盛り上げるためのポイントをまとめました。
アカペラの歌に関する技術的なテクニック関しては「アカペラ初心者が知っておきたいアカペラがうまくなる3つのコツ」でも触れていますので、よければこちらも読んでみてください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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