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【アカペラコラム】移動ドって何がいいの?論争に終止符を打つ

先日、メンバーにある質問をされました。

 

よく「移動ドで音取ったほうがいい」って言われるけど、なんで?

 

…なんで?

 

そのほうが音取りやすくない?

 

midiなくても音取れるようになるし、それぞれの音の役割とか考えながら歌えるやん。

この音は今3度でハモってるんだな〜とか、私はセブンスの音なのね〜とか。。

 

僕は自分で話しながら、なんと説得力のない説明だろうかと、申し訳なさを醸し出しながら答えました。

 

彼女はこう続けます。

 

「けど、midiのが正直早くない?

一応他のパート聞いて、全体の中で自分がなにやってるかとかも聞くようにしてるし、

最近は曲の途中で転調しちゃっても、音の距離感?で、うまいこと合わせられるようになってきたから、イマイチ移動ドでやるメリットがわからんのよね。」

 

確かに、自分のラインを覚えるだけならmidiのほうが早いかもしれない。

 

他のパートにどう絡んでいるのか、リードとハモってるのか、コーラスで一つのハーモニーなのかだって、

きちんとmidiで他のパートを聞いたり、自分のパートだけ抜いて歌ったりすれば、わかるかもしれない。。

 

転調してもついていけるなら、midiの丸暗記ともまた違うし、

相対音感がついてきているなら、それはそれで成長な気もする。。。

 

思えば、移動ドのメリットをきちんと説明できたことないなと思いつつ、

普段からそこまできちんと音取りをして練習に臨んでくれているメンバーに、ちょっと感動した僕でした。

*****

「移動ドで音が取れるほうがいい」

「自分が歌っている音が、その調の中でどんな音(ドなのかミなのか、シ♭なのか)をわかってるほうがいい」

「純正律が、うんぬん…」

 

アカペラ界では、絶対音感より相対音感、固定ドより移動ドを重視する話は、これまでもよく聞いてきたし、自分も疑いもなく何度もしてきました。

 

ただ、midiの音取りで満足している人に、

 

midiじゃだめな理由

midiよりも移動ドで音を取るほうがいい理由

 

を、きちんと納得いく形で説明できたことはないように思います。

 

ただなんとなく「移動ド」のほうがいい気がする…

 

というわけで、僕はこの記事で「移動ドって何がいいの?論争(?)」に終止符を打ちたいと思います!

 

ゴールはうちのメンバーが、midiじゃなくて移動ドで音取ろうかなって思うこと。

 

それでは、いってみましょう〜!

ドレミファソラシドには音ごとに役割がある

ドレミファソラシドにアルファベット読みがあるのはなぜ?」でも触れていますが、

 

ドレミファソラシドは音の距離を示す言葉です。

 

なので、ドに対してキレイにハモって聞こえるミ、ファ、ソの音は、

 

ピアノのCに対するEFGと、微妙に違う高さの音である必要があります(純正律の考え方)

 

midiはこの微妙な音程の違いを考慮しませんから、midiで音をとっていると、

 

本当はCに対してキレイにハモって聞こえるEを歌うべきなんだけど、midiで鳴ってるEを歌っちゃうし、

 

調号(キー)が変わった(Gがドになったりした)ら、今歌ってるEが距離的にはどの距離感で歌うべきか、わけがわからなくなります。

 

ほら、移動ドのが便利じゃん!

 

いやちょっと待てよ、、

 

自分が歌ってる音がCなのかEなのかで音を取ってたらこんがらがるけど、そもそもそこをあんまり気にしてないなら、

前の音との上がり下がりで音をとってるなら、別にこんがらがりはしないですね…

 

そもそもCにキレイにハモるEと、midiのEの違いなんて、どうやってわかるんでしょうか…

自由に転調できる

ちょっとトップの音高いから、半音キー下げていい?

 

アカペラにおいて楽譜の音を半音なり全音なり転調して(キーを変えて)歌うことは、それほど珍しいことではありません。

 

midiで音取りしていると、転調したらまたイチから音の取り直し。

 

移動ドを身につけていれば、自由にキーを変えられますが、midiの丸暗記じゃ無理です。

 

いやちょっと待てよ、、

 

キーを変えるのって、カラオケとかでは普通に皆さんやってますよね。

 

midiで自分のラインを覚えていても、カラオケと同じようにキーを変えても歌えるのであれば、もはやそれは移動ドを身につけていると言っていいのだろうか…?

 

いや、それとこれとは別物のはず!

 

けど、転調は出来るって人は多いですし、うちのメンバーもそれなら出来るんですよね…

 

うーむ…

 楽譜だけで音が取れる

アカペラにおいて、

 

楽譜はあるけど、midiがない

 

はあっても、

 

midiはあるけど、楽譜がない

 

ということは、ほぼありません。

 

移動ドで音を取るスキルがあれば、楽譜があれば音取りができます。

 

わざわざmidiを作る必要もないし、電車の中でも音取りできるようになります。スキマ時間の有効活用!

 

いやちょっと待てよ、、

 

一回midiにしてしまうのと、いちいち自分の音が移動ドでいうとドレミファソラシドのどれなのかを確かめる手間を比べたら、

 

どっちが楽かは微妙かもしれない…

 

midiは、誰かが作ればみんなに回せるけど、移動ドは全員が個人個人でやらないといけないですし、

 

イヤホンをしてれば、midiでも音取りは出来ますね。

 

むむ、midiのが楽なのか…?

移動ドは汎用的な音楽スキル

midiで音を取るということは、その曲にしか通じない限定的なスキルです。

 

その曲で覚えた音の上がり下がりの距離感は、他の曲では別物として出会います。

 

しかし、移動ドで音の距離感を捉えていれば、

 

お、ここはミ〜レ〜ド〜なのね、はいはいOK♪

 

といった具合に、

 

いろいろな曲を共通のものさし(音の距離感)で測ることが出来ます。

 

音の距離感を覚えていれば音が取れるので、慣れれば音取りのスピードが飛躍的に上がるはずです。

結論、移動ドのメリットは…

音取りが早くなるよ

 

…かもしれません!笑

 

どうしよう、自分が一番納得いってない…笑

 

本質的には、ドレミファソラシドの音の役割の話が近いと思うのですが、

そもそもCにキレイにハモるEと、midiのEの違いなんて、どうやってわかるんでしょうか…

 

これが解決しないと、midi派の方たちは納得感がない気がします。

 

「midiで大まかに音とって、みんなで集まったときに確認していくんじゃダメなん?」

 

とか言われちゃうと、もうね、そんな気もしてきますよね。

 

バークリー音楽学校では、まず移動ドを学ぶそうなんですが、その理由について、

VOXONEで活動されていた松岡由美子さんのこんなメッセージを見つけました。

 

ボーカル関西さんのFacebookから引用させていただきます。

感想集ありがとうございました。一つどうして移動ドだったかとのご質問があったのでお答えしましょう。その方に流していただければありがたく存じます。

 

バークリーでは移動ドを使います。これはおそらく移動ドの機能性(どの調であってもドが基本の音となり、その他の音もそれなりの機能がある)がバークリーで主に扱っている種類の音楽に合うからだと思います。転調があっても大抵の場合一つの調にある程度の時間いること、また例えばある歌い手がスタンダードの曲を取り上げて楽譜にある調では自分の音域にうまく合わない時など、移動ドであればどの調に変えても同じシラブルでいられることなどの理由が考えられます。

 

日本は面白い国で子供の時に習う童謡とかは移動ド、ところが音楽学校に入ったら必ず固定ドなんだそうです。後者はクラシックの伝統が根強いため(こちらの音楽学校もおおむねそうですが)ですが、大事なことは方法がどうであれきちんと音がとれることです。メンバーの間で異なるやり方があると確かに困るだろうとお察しします。が、お互いが学び合おうという気持ちがあればそれも解決できるのではないかと。どちらの方がすごいとか優れているという議論は時間の無駄だと私は思います。

 

うちの学校でも固定ドでしっかり学んでから来る(主に外国人)がいくらもいますが、この先学内で他の学生及び先生と関わるためには移動ドができることが必至なので学んでもらいます。もちろん人にもよりますが、双方の良さがわかってどちらも使えるようになる優秀な学生を何人も見て来ました。

以上、質問された方に少しでもお役に立てばと思います。

 

世界的にも移動ド・固定ドは意見が分かれるところ。どちらが優れているとかいないとかではないんですね。

 

なるほど…

 

midiはどうなのでしょう?笑

 

というわけで、

結局「移動ドって何がいいの?論争(?)」に終止符を打つことは出来ませんでした。。

 

どなたか答えを持っている方、教えて下さい!

 

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

ABOUT ME
しげ(ボーカルパーカッション)
学生時代からアカペラサークルで活動し、ライブ企画やイベントスタッフを経験。「歌がうまい=モテる」への反骨精神(アンチテーゼ)から、ライブパフォーマンスやステージングの研究を始める。ライブ演出・ステージングのネタ、プロアーティストのワークショップなどで得たおもしろ練習法を発信しています。

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