アカペラの定義

アカペラとゴスペルの違い

一見すると違いがわかりにくいアカペラとゴスペル。音楽をやっている人でも、なんとなく違いはわかるけど、正しい違いまでは…という人も多いと思います。

 

この記事では、そんなアカペラとゴスペルの違いについて解説していきたいと思います。

アカペラは、元々は演奏スタイルを指す言葉

アカペラは、ピアノやギターなどの楽器を使わないスタイルの音楽をすべて”アカペラ”と呼びます。

 

歌う曲がJ-POPであっても、洋楽であっても、アニメソングであっても、楽器を使っていなければ、それはすべて”アカペラ”なのです。

 

 

”ゴスペル”というのは、教会音楽の中の1つのジャンルを指します。楽器を使っていようがいまいが、神様への感謝・愛を歌っていることが”ゴスペル”の条件なのです。

アカペラは楽器を使わないスタイルの名前、ゴスペルは音楽のジャンル

 

アカペラはそのスタイルの特性上、和声学をベースに合唱に近い進化を遂げながら、エンターテインメント性を吸収していきました。

 

一方、ゴスペルは教会音楽の中でも、独自のリズム感とある種の決まりのような特徴を生み出していくこととなります。

ゴスペルは色々なスタイルで歌われる

「アカペラをしています!」と言っても、数日後には「〇〇さんは、ゴスペルをされているのよね?」なんて言われるくらい混同されやすいアカペラですが、

 

なぜなのでしょうか。

 

その理由は、それぞれの音楽の成り立ちやその特徴を考えると理解できるかもしれません。

 

まずはゴスペルの歴史とその特徴を見ていきましょう。

 

Wikipediaによると、

奴隷としてアメリカ大陸に連行されたアフリカ人は彼ら独自の言語・宗教などをいっさい剥奪された。その苦しい状況下で、彼らのうちのある人々は、救いを与えるゴスペル(福音)と出会い、キリスト教への改宗を経て、神に彼ら独自の賛美をささげるようになった。

引用元:Wikipedia ゴスペル(音楽)

 

音楽のジャンルは、ルーツを辿ると悲しい歴史の上に成り立っているものが少なくありません。ブラックミュージックと言われるようなジャンル(ブルースやR&B)は、その特性上、公には言えない自分たちの感情を歌に乗せて、音楽として昇華させたものです。

 

ゴスペルもその一つ。

 

当時の黒人たちが、神への祈り、生きる希望、魂の叫びを歌にしたのが”ゴスペル”なのです。

 

その成り立ちの特徴から、

  • 曲の内容は神への祈りや感謝
  • 牧師による口伝が基本だったので、コール&レスポンスが中心
  • リズムは黒人特有の裏拍ノリ

 

このような特徴があります。楽器の有無は関係ありません。

厳密には、”讃美歌”と”ゴスペル”は別物なようです。讃美歌はカトリック教会で歌われるもので、ルーツは白人系の音楽。ゴスペルは、プロテスタント教会で歌われ、ルーツは黒人系の音楽なんだそうです。

ゴスペルについての詳しい説明や、詳細な歴史的背景などはこの記事では割愛しますが、もし興味がる方は調べてみても面白いかもしれませんね。

アカペラは一種のエンターテインメントに

一方、アカペラはどうでしょうか。楽器を使っていなければすべて”アカペラ”とはいうものの、人の声だけで音楽を成立させるためには、それ相応の工夫や技術が必要です。

 

アカペラは元々「ア・カペラ」という教会音楽を意味する言葉で、はじめから無伴奏を意味する言葉として使われたのではありませんでした。

 

派手で豪華な教会音楽ばかりが作られていたルネサンス期に、

 

しげ
しげ
いやいや、歌詞も何言うてるかもわからんし、お前らかっこよくしたいだけやろ。もっとちゃんと祈れや!笑

 

ということで、歌詞が聞き取りやすいよう簡素化(当時はメロディをなぞる程度の伴奏はあったようです)した教会音楽が生み出されました。

 

この様式が後のアカペラ(イタリア語では、ア・カペラ)となるのです。

>参考サイト:語源と歴史 – Let’s アカペラ

 

その後、簡素化された音楽→無伴奏へ様式を進化させたアカペラは、今では教会音楽以外でも、その様式を指す言葉として定着しています。日本ではTV番組「ハモネプ」のおかげで、エンターテイメントとしてのアカペラが拡がっていますね。

 

驚異のアカペラ×ゴスペルグループ「Take6」

さて、このように成り立ちを比べてみると、どちらもルーツは教会にあることがわかりました。

 

これが、アカペラとゴスペルが混同されやすい理由ではないかと思います。ゴスペル曲のなかには、アカペラで歌うことを前提としたものもたくさんあります。

 

では、 最後にこのアカペラグループを紹介したいと思います。コンテンポラリーアカペラの父と呼ばれる(?)驚異のアカペラグループ「Take6」です。

 

▼Take6 – Change The World

 

彼らはゴスペル音楽を重要視したいという事から、ゴスペル専門のレーベル対象にショーケースを行ったり、デモ・テープを送ったりした。ア・カペラ(無伴奏)で演奏されていた事からもメジャー・レーベルからは興味を示されないと思っていたが、あるとき行ったショーケースで、そのときは招待していなかったワーナー・ブラザース・ナッシュビルのディレクター ジム・エド・ノーマンの目に留まり、その後すぐに契約を果たした

 

1988年3月にア・カペラで歌われたアルバム、Take 6をリリース。このアルバムはビルボードの「インスピレイショナル・チャート」、「スピリチュアル・チャート」、「ジャズ・チャート」にランクインし、ステラー・アウォーズで「コンテンポラリー・グループによるベスト・パフォーマンス」部門と「ネスト・ニュー・アーティスト」部門を獲得、更にNAACPイメージ・アワードにもノミネート、翌年のグラミー賞にて「ベスト・ソウル・ゴスペル」、「ベスト・ジャズ・パフォーマンス」を獲得、また「ベスト・ニュー・アーティスト」にもノミネートされた。同年に来日公演を果たした。

引用元)Wikipedia:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%A4%E3%82%AF6

 

そんなtake6は、”アカペラ”で”ゴスペル”を歌うグループです。今でもたまに来日公演があり、多くのアカペラファンが彼らのライブに足を運びます。

 

▼Take6 – Lamb of God

まとめ

というわけで、本記事のまとめです。

 

  • 楽器を使わないスタイルのことを”アカペラ”、”ゴスペル”は教会音楽の1つのジャンル
  • どちらも元々は教会で歌うために生み出された音楽
  • アカペラはエンターテインメントに、ゴスペルは宗教音楽に

 

個人的な模範解答は「まぁ似たようなもんですよ~」で適当にやり過ごすことですが、自分がやっている音楽がどんな成り立ちから出来ているのか、せっかくなら理解して歌うほうが、より深く音楽を味わえるように思います。

 

ぜひ皆さんも、ゴスペルもアカペラもそれぞれの良さを感じながら楽しんでください。

 

ABOUT ME
しげ(ボーカルパーカッション)
学生時代からアカペラサークルで活動し、ライブ企画やイベントスタッフを経験。「歌がうまい=モテる」への反骨精神(アンチテーゼ)から、ライブパフォーマンスやステージングの研究を始める。ライブ演出・ステージングのネタ、プロアーティストのワークショップなどで得たおもしろ練習法を発信しています。