ライブ&パフォーマンス

400回アカペラライブに行って考えたセットリストの考え方

※この記事は、noteに投稿した「4年間で100本近くライブを見て考えた 必ず盛り上がるセットリストの作り方|一曲目の選び方編」をリライトしたものです。

 

僕は学生時代から、社会人になった今もアカペラグループで活動しています。今でも土日はライブにも出ます。2017年2月は初めて自分のグループで単独アルバムを作りました。12月にはありがたいことに、韓国で歌わせていただきました。

 

※その時の様子はこちら

おたべ旅行記~韓国篇~

 

そんな僕が、本格的にライブに出るようになって一番悩んだのが”セットリスト(曲順)“。

 

歌える曲がまだ少ないとか、歌える曲を精一杯歌うという場合は、曲順もどちらを先に歌うか程度だと思うのですが、グループ歴も長くなってきて曲数が増えたり、演奏時間が伸びてくると”どの順番で歌うか”を考える必要が出てきます。

 

でもこれって、誰も教えてくれなくないですか?

 

少なからず僕は教えてもらえなかったし、それについて語られた本もブログも読んだことがありません。

 

そこで、プロアマ合わせて100本近くのライブを見て聴いて感じて分析して考えてたどり着いた、僕なりの失敗しないセットリストの作り方をまとめてみたいと思います。

 

※今回はライブハウス限定です。ストリートはまた違うと思います。研究中なので、また考えがまとまったら書いてみようと思います。

 

※あくまで個人の見解です。学術的根拠は全くないので悪しからず…

無難はアップテンポ2曲 or バラード

おしゃれにも基本があります。まずは黒のスキニーから入って、次にきれい目のあれやこれやを買って…みたいな。

 

セットリストも同じです。基本の型があります。まずはアップテンポ2曲、あるいはバラードから入るのが無難です。

 

具体的な理由を説明します。人間は、間違って恥をかくことを嫌う生き物です。日本人は特に。なので、自分しか盛り上がっていないという状況を徹底的に嫌います。※これに関しては、キングコングの西野さんの本やブログを読んでください。もっとちゃんと書いてます。

 

一方で、”盛り上がるところですよ”というのをきちんと明示して、”みんな盛り上がってる”、とか”ここは盛り上がるところだ”というのがわかると、お客さんが協力してくれるようになります。そもそも僕らのようなアマチュアのライブにわざわざ来てくれているのです。基本ホームゲームだと思ったほうがいいと思います。

 

そこで、まずはアップテンポ2曲から入ってください。

 

盛り上がるところだ!“ということを強く訴えるためです。1曲目のイントロにかぶせてグループ名を叫ぶとなお良いでしょう。パーカッションソロにかぶせてでも良いです。ライブは仕事のプレゼンじゃないので、だれが歌ってるかとか後回しで良いです。とにかくサクッとグループ名だけ叫んで、あとはアップテンポに身を任せてください。

 

2曲目も曲間のMCを入れずにアップテンポを歌ってください。ここもパーカッションソロにかぶせて、でも可です。イメージですが、アップテンポ1曲では、お客さんのテンションは0→1にはなりますが、10にはなりません。1のテンションは、油断するとすぐ0になります。2曲続けてアップテンポにすることで、テンションを1→5にするのです。そうすることで、テンションは0に戻りにくくなりますし、その後の曲の出来が多少悪くても、なんとなく良く聞こえます。自分では仲間意識的ななにかが芽生えてハードルが下がるからだと思っています。

 

曲間のMCをなくすのにも意味があります。日本の教育は非常に良くできているので、私たちは誰かの発表が終わると必ず拍手をするように仕込まれています。ライブでも曲が終わったな、と思うと自然と拍手が起こります。拍手がなってる間に曲を始めると、その拍手が自然と手拍子に変わるのです

 

場合によっては少し煽る必要もあるかも知れませんが、その場合も0からやるよりは絶対に手拍子は起こりやすいです。これは意外と使えるテクニックなので、騙されたと思って是非一度使ってみてください。

アップテンポ1曲じゃダメな理由

2曲続けて歌うのは、実は最初は意外と勇気が要ります。でも僕は1曲じゃダメ、アップテンポは2曲であるべきだと考えています。

 

なぜか。

 

アップテンポ1曲→バラード。これだとテンションをあげたらいいのか落ち着けたらいいのかわかりません、迷います。迷うと人は協力してくれません。基本ホームとは言いましたが、1曲聞いただけでテンションの上げ下げを調整してくれるほどではないでしょう。

 

アップテンポ1曲→MC→バラードの場合も上記と同じく。テンションにストーリー性を持たせられないので、起承転結でいえば、承飛ばして転にいっちゃってる感じ。起転承結だと人は気持ち悪いので、協力してくれません。

 

アップテンポ→ミディアムテンポ。これではテンションが上がりきらない。0→1→2くらいのイメージ。やるならアップ→ミディアム→ミディアムくらいにしたいけど、実際やると大変なのと、上手く歌えるところじゃないと3曲続きはお客さんが疲れます。疲れたら0→1→0になってしまうのでダメ。難易度高めだと思います。

 

アップテンポ→MC→アップテンポ。これは非常に微妙なラインですが、この場合のMCって「次も盛り上がる曲なので、手拍子とかして一緒に盛り上がってくださーい!」になりがち。これは説明と依頼です。ライブであるからには依頼はできるだけやめましょう。ですし、それなら続けて歌っても大丈夫です。安心してください、そっちのほうが絶対に盛り上がります。

バラードなら1曲でも可

アップテンポ2曲がないとき、あるいはグループ名をどうしても叫びたくない場合はバラードから入るパターンもありです。その代わり、ラストをアップテンポで締めるのは諦めてください。

 

セットリストの考え方のベースは起承転結です。

アップテンポから入った場合は、転のところでバラードを持ってくれば結もバラードにすることが出来ます。一度テンションをあげているので、転→結で、バラード→アップテンポとやっても、無理なくテンションをあげてもらうことができます。

 

しかし、バラードで入った場合、どこかのタイミングで一度テンションを10まで持ってこないと最後だけいきなりアップテンポでテンションをあげるのは非常に難しい。本当に盛り上がっていいのか、これも迷いに繋がります。(※最後は盛り上がってくださーい!は依頼です。やめましょう。)

 

バラードで入っても、どこかで一度山を作ることが出来るくらいの長尺のライブ(30~40分とか60分以上とか)ならかまいませんが、仮に30分のライブであってもバラードから入って、一度落ち着きモードになっているテンションを上げ直すのは非常に難しいので、バラードから入る場合はラストにアップテンポを持ってくるのは諦めるほうがいいと思います。

バラードは歌いはじめより曲終わりのほうが大事

バラードから入る場合、精一杯集中して歌ってもらえればそれでいいです。グループ名を叫ぶ必要もありません。

 

強いて言うならポイントは2つ。
無音になってから歌い出すこと
無音になってから話し出すこと

 

「無音になってから歌い出す」、これはイメージしやすいと思います。アカペラの場合、ピッチパイプという笛の一種のような道具ではじめの音を確認するわけですが、それが鳴り終わってから一瞬無音の時間ができます。あれをきちんと意図的に作り出してから歌い始めるようにしてください。

 

テレビでやっている競泳の中継でいう「on your mark(よーい)………ピッ!!(どん!!) 」の「………」の間がめちゃめちゃ大事です。あるのとないのとでは、歌い出しのかっこよさが全然違うので是非やってみてください。

 

続いて「無音になってから話し出す」

これは曲が終わってからの間のことを指しています。先にもあるとおり、演奏が終わると大概の場合自然に拍手が起こります。バラードが終わってから拍手が起こらなかったら、終わったことが伝わらなかったか、余りにも余りにもな演奏だったかです(後者の場合でも誰も拍手しないなんてことは滅多にないと思います)

 

無音になる、つまり、拍手がある程度終わるのを待ってから話し出してください。拍手にかぶせて話していると、なんとなく落ち着きのない煩雑な印象を受けます。せっかくバラードで作ったいい雰囲気が、拍手にかぶせて話すだけでなくなってしまうような気がするのです。

 

ちょっとだけでいいので、歌い終わってすぐ「ありがとうございましたー」と話始めるのではなくて、無音で、精一杯の微笑み顔で拍手が落ち着くのを待つ時間をとってください。

 

いい雰囲気を残したまま次の曲にいければ、それがバラード続きでもミディアムテンポであっても、自然と耳に入ってくるようになります。無理に上手く歌おうとしなくても、その曲の良さが自然と伝わるようになるでしょう。

 

ポイントは無音の時間をとること。雰囲気のキープの観点から考えると、曲終わりのほうがそのライブ全体への影響度は高いかもしれません。

プロとアマの決定的な違い

最後になりますが、もうひとつライブを見ていて、プロは違うなぁと思ったこと。それは、曲がライブを作るのではなく、アーティストがライブを作るという意識です。

 

当たり前ですが、お客さんはなんの曲かによって盛り上がったり盛り上がらなかったりしてるのではありません。もちろん盛り上がりやすい曲もあるし、人によってはその曲というだけで盛り上がることもあると思いますが、だったらわざわざ素人がアカペラで歌う必要なんかなくて、CDで音楽かけながら口パクしてればいいんです。

 

でもそうじゃないんです。人は曲で盛り上がってるんじゃないんです。あなたの歌で盛り上がってるんです。あなたの歌う姿を見て涙してるんです。

 

歌いたいんですよね?ハモりたいんですよね?だったら、自分たちがこの曲の力を借りてお客さんを盛り上げるんだ、盛り上がってもらうんだ、一緒に盛り上がるんだ!という気持ちを、もっともっと素直に表現して良いと、僕は思います。一曲目でそれが出来れば、そのライブはほぼ成功したといえるでしょう。セットリストはその気持ちを、少しだけ伝わりやすくするためのものだと思ってもらえるといいと思います。

 

僕はもっとたくさんの人と音楽の力を借りて一緒に盛り上がりたいと思っています。だから練習します、研究します、通勤途中もお皿を洗ってるときもずーっとボイパの練習をします。新卒の子に「たまに社内でもやってますよね」ってイジられてもやめません。笑

 

本当に音楽的な技術があれば、セットリストやMCなんてどうでもいいのかもしれないけれど、今の僕がもっとたくさんの人に気持ちを届けられるようになりたいので…

 

次回は2曲目以降の考えをまとめようと思います。
長くなったので、今日はとりあえずこのへんで。。

 

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ABOUT ME
しげ(ボーカルパーカッション)
学生時代からアカペラサークルで活動し、ライブ企画やイベントスタッフを経験。「歌がうまい=モテる」への反骨精神(アンチテーゼ)から、ライブパフォーマンスやステージングの研究を始める。ライブ演出・ステージングのネタ、プロアーティストのワークショップなどで得たおもしろ練習法を発信しています。