#4 メロディの下ハモりは”6度以上”離す。「メロディが自然に目立つアレンジ」の3原則

はじめまして、しげです!
先日、おたべのTwitterでこんな投稿をしました。
明日は「潮さんのアレンジを肴に飲む会」第3回となる今回は、しげのアレンジを潮さんに添削してもらって、それを肴に飲みます。
・ベースライン全とっかえで印象が全然違う
・経過音に臨時記号めっちゃあって超おしゃれ
・リード回しでも、コーラスが誰も無理してない答え合わせが楽しみすぎる…! pic.twitter.com/Kx6RUo5gzw
— おんたま弁当🥚おたべと読みます (@otabe_acappella) January 9, 2020
「潮さんのアレンジを肴に飲む会」については、こちらに詳しく書いてます。
この記事では、第3回の「潮さんのアレンジを肴に飲む会」で学んだことをまとめます。
アレンジ添削は、今回が初めてだったのですが、
- 自己流のアレンジに限界を感じてる人
- コードのことはわからないけど、ちょっと気にはなってる
- シンプルでいてかっこいいアレンジが出来るようになりたい など
アレンジ自体はしたことあるけど伸び悩んでる人は、全員やったほうがいいと思います。
この記事読んで「私もアレンジ添削してほしい!」って思った方は、潮さんのDMからどうぞ(PR)
潮さん Twitterアカウント:https://twitter.com/ushio4eda?s=20
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PYLON 潮さん
1999年に結成された混声アカペラグループ「PYLON」のリーダー。
子どもの頃からハモりのある音楽が好きで、アコギやピアノ弾き語りを録音しては自分でコーラスを重ねて遊んでいた。
アカペラとの出会いは「山下達郎」
34歳のとき会社を辞めPYLONのリーダーとしてプロに転身。6人→5人→4人とメンバーが減る中で「シンプルでも説得力のあるアレンジ」を磨く。
目次
この記事で書いてあること
今回は、しげアレンジの添削→答え合わせなので、気になることはすべて聞いてきました。
読みやすいように意識はしてますが、このブログ自体めちゃくちゃ長文になってます。
先に要点をまとめておくので、全部読むのが大変な人は、気になるところからどうぞ。
- ベースライン・リズム選びは、曲の歌詞や雰囲気に合わせる
- 原曲にないベースラインも、雰囲気にあわせて自作する
- ベースの経過音は、着地させたい音に対して、全音あるいは半音上からアプローチするか、下からアプローチするか。聞いててきもちいいかどうかで作る
- 気づいてほしい遊びどころは、ユニゾンにするくらいはっきりと。隠し味なら1声でもOK
- コード感が失われないなら、三度を無理に歌わせるよりも歌いやすいライン優先
- コード感がわかりにくくなるなら、あえてコーラスが頭から入らないのもテクニック
- コーラスの息継ぎも考慮して休符を入れてあげる。きちんと歌えるほうが、かっこよくなることも
- コードの背景にあるスケールを理解する。スケールにない音を使うと”いびつ”に聴こえる
- 独立した旋律でハモるアレンジでは、平行五度はNG。ただし、そうでない場合は気にしなくてもOK!
- リード回しのアレンジでは、メロディに代わる前後は余裕を持たせる。コーラスに代わった瞬間は、音を下げて、コーラスに代わったことを目立たせない
- 居場所がない音は、無理に歌わない。”メロディの通り道があいてるか”を意識
- 字ハモ原則1:メロディの下は、六度以上離す
- 字ハモ原則2:目立たせたくない音は動かさない(三度下ハモりなど)
- 字ハモ原則3:増4音程(ファとシの関係)ができないように注意
- メロディのオクターブユニゾン(ブロックコード)は、有効な字ハモのひとつ
- あとでやることは、先にやらない
- 真似できない楽器のリフは、シャウトやオリジナルのスキャットをプチ作曲して乗り切る
- 拍手をもらいやすいエンディングが基本。終わりを予感させるアレンジに
しげアレンジの楽譜と、添削後の楽譜です。題材は竹内まりやさんの「今夜はハーティパーティ」を選曲しました。
原曲
https://www.youtube.com/watch?v=Be3DHlsoLa4
しげアレンジ
潮さん添削後
しげがやりたかったこと、悩んでいたことは、ざっくりこんな感じ。
- 混声でのリード回しにチャレンジ
- クリスマスの”おしゃれな感じ”を出したい
- 原曲のベースラインが単調で難しく、リズム変更してみた
- もっとパーティ感を出したいけど、直し方がわからない
それでは、本編いってみましょう~!
Q1. ベースラインて、どうやって作るの?
まずは、ベースラインについて教えてください。僕のアレンジとは全く別物に変えてもらってて、このラインすごくかっこいいなって思ったんですが、原曲にあるわけでもなくて…
こういうラインはどうやって作ればいいのかと…?
そもそも、なんでボサノバにしたん?
皆さんもベースがしっくりこないこと、ありません?
原曲聴いてもらったらわかるんですが、リズムは感じるけどベースはずっと16ビートで単調なんです。声でやると面白くないし、かっこよくも聞こえないし、人間的に限界があるというか…
今回もそれに感じたので、あえて違うラインを、なんとかしておしゃれな感じに自作しようとしたのが、しげアレンジのベースラインでした。
原曲のベースラインはそれだけだと単調だし、アカペラじゃ真似できないな、それならリズム変えようか、、と思ったんです。
が、リズム変えるってなったときの手札がボサノバしかなくて。。
原曲は「パーティしようぜー!」って曲なのに、ボサノバはむしろ
パーティのすみっこで一人で楽しんでる人たちのリズムやん?
曲の歌詞とも雰囲気とも”ちぐはぐ”よね。
確かにw
ベースライン・リズム選びは、曲の歌詞や雰囲気に合わせる
ちなみに、このラインって原曲で鳴ってますか?どうしてもこんなライン聴こえなかったんですが…
これは鳴ってないね。
「この曲のリズムはこんな感じやから、こういうベースやったら気持ちいいかな~」って想像しながら、自分で作りました。
ひぇ~!こんなかっこいいベースラインにはたどり着けないです~涙
正直ボサノバは、原曲の雰囲気とも、自分が作りたい雰囲気ともずれてるなって自覚はありました。ボサノバに、なりきれてないとも思っていたし。。
けど、どうしたらいいかわからず「ええい、なんとかなるやろー!」で、世に出しちゃったのが今回の楽譜。
リズムのことももっと勉強して、ベースラインのレパートリーを日ごろから貯めておくのが大事なのかな、と思いました。
原曲にないベースラインも、雰囲気にあわせて自作する
Q2.ベースの経過音て、どうやって作ればいい?
ところどころ、経過音に臨時記号が入っているところもありますよね。これめちゃくちゃおしゃれだなって思うんですけど、自分でやると失敗することも多くて。
なにかルールとかがあるんでしょうか?
ルールがあるわけじゃないけど、着地させたい音に対して、全音あるいは半音上からアプローチするか、下からアプローチするか。
聞いてて気持ちいいかどうかで、好きに作れば良いと思います。
好きに作っていいんですか!?
うん、聞いてて気持ちよければねw
第一回のアレンジ飲み会でもおっしゃってましたが、潮さんのアレンジは「聞いてて気持ちいいかどうか」をとても重要視されていました。
とはいえ、その気持ちいい、気持ちよくない、という感覚を鍛える、違いがわかる耳になるというのも、それなりに時間がかかるはず。
アレンジも結局は””音楽””なので、技術や知識だけじゃなく、耳を鍛える必要がありそうです。
ベースの経過音は、着地させたい音に対して、全音あるいは半音上からアプローチするか、下からアプローチするか。聞いててきもちいいかどうかで作る
Q3. 遊びポイントはユニゾンにすべき?
添削後の楽譜、12小節目のコーラスなんですが、
ここは原曲の歌詞「地下鉄乗り継いでたどり着くオフィス」に合わせて、関西の地下鉄御堂筋線の発車メロディを入れてるところでして、
僕のアレンジでは、1stが1声だけ歌ってるんですが、ユニゾンに変わっています。
これは、あえてユニゾンにされたんでしょうか?
ここが遊びどころというか、わかってほしいポイントなら、これくらいやらないと伝わらないかなと思って。
隠し味したいなら、ここまでやる必要はないけど。
気づいてほしい遊びどころは、ユニゾンにするくらいはっきりと。隠し味なら1声でもOK
ここは、がっつり伝わってほしかったんで、こっちがいいです!
Q4. 三度がないのはいいの?
添削後の14小節目は、コードネームでいうとCm7だと思うんですが、これまでのアレンジ飲み会でも出てきた”三度抜きの和音”が登場してます。
前の小節でその音が何度も鳴っていれば、次の小節でもその音を感じる、通称「コードの残り香」については、前にも教えてもらいました。
ただ、ここは前の小節でも鳴ってないし、””残り香効果””はあるんでしょうか?
ここはさ、仮に三度の音(E♭)がなかったとしても、Cm7に感じると思うねん。
この瞬間だけCmなのかCなのか、わからなくなったりはしない。
E♭が無くてもちゃんとCm7に感じるなら、無理にコーラスが歌いにくいラインにするよりも、いさぎよくE♭抜いてしまって歌いやすいラインにしてしまおう、ってことやね。
ごめんなさい、わかりませんでしたw
たぶん僕が普段「コードを感じながら音楽を聴いてない」のが原因な気がします。
コード感が失われないなら、三度を無理に歌わせるよりも歌いやすいライン優先
Q5. ロングトーンは、全員頭から入るものじゃないの?
続いて、18小節目のコーラスなんですが、全員頭からでも入れるはずなのに、2ndだけ一拍後ろから入っているんです。
これも、あえてなんでしょうか?
ここは、2ndは9thの音を歌ってるわけやけど、頭から入るとメロディの邪魔をしてしまうと思って一拍ずらしてます。
特にメロデイと近い音を歌ってるわけじゃないと思うんですが、それでも邪魔なんでしょうか?
ここはコードネームはCm7、、に9thがついてるのかな。あ、ここも三度は抜いてるね。
三度なしで、頭から9thが鳴っちゃうと、さすがにコード感がわかりにくくなるかな。
しかも、すぐ後にメロディが同じ音歌うから、先にコーラスが歌うのはもったいないよね。
なるほど、、もったいないって感覚はなかったです。
コード感がわかりにくくなるなら、あえてコーラスが頭から入らないのもテクニック
この後(20小節目)も、一拍目は休符なんですけど、同じ理由ですか?
あ、これはコーラスの息継ぎのため。w
優しい…!!
だってさ、息継ぎなしで歌っても歌えるけど、
「fu~~、(ウン)Fu~」って歌ったほうがカッコよくない?
確かに!間違いないです!!!
コーラスの息継ぎも考慮して休符を入れてあげる。きちんと歌えるほうが、かっこよくなることも
あ、ちなみにここ(18~20小節目)やねんけど、しげのアレンジと変えてます。
あ、僕がオリジナルのライン作ってるところですね。
しげアレンジ(21~23小節目)
1st:G→B♭→B♮→C
※原曲にはないオリジナルのラインを自作
潮さん添削後(18~20小節目)
1st:G→G♭→F
コード進行でいうと、Cm7→E♭m……?
コード進行は、Cm7→E♭m9→Dm7。
このE♭m9が大事な和音。
B♭から始まるドレミでいうと、Ⅳ(よん)の和音のマイナーなんやけど、
サブドミナントマイナーってやつですね。
このマイナーの和音は、G♭の調から借りてきてる和音(借用和音)やねん。
で、聴いてる人は、このE♭m9が鳴った瞬間に、E♭から始まる「メロディックマイナー(旋律的短音階)」っていうスケールが頭に流れます。
マイナーのスケールって、確か色々あるやつですよね?
マイナーのスケールは、3種類。
- ナチュラルマイナースケール(自然的短音階)
- ハーモニックマイナースケール(和声的短音階)
- メロディックマイナースケール(旋律的短音階) ね。
聞いたことは、あります。
E♭m9が鳴ったときの背景にあるのは、メロディックマイナー(旋律的短音階)なのに、しげの作ったライン(B♭→B♮)は、ナチュラルマイナー(自然短音階)的なの。
やから、このB♮はちょっと違和感があるかな。
E♭m9が鳴った時に聞こえるスケールに、B♮はない=あんまりよくない、ということでしょうか?
しげのアレンジでも、1stパートだけで聴いたら、決してだめなラインじゃないと思う。けど、ここでB♮が出てくるのは、やっぱり”いびつ”かな。
もしB♮を使うなら、小節の頭からBonD♯とかにしたげる。そのほうが、ナチュラルマイナースケールをイメージしやすいよね。
コードの背景にあるスケールを理解する。スケールにない音を使うと”いびつ”に聴こえる
このライン作った時に、
「よし!これは会心のおしゃれなラインができた!」と思ったんですけどね~。
スケールのことは、ちゃんと勉強したいです。特にマイナー。
Q6. 平行五度は気にしなくていいの?
ここ(21~22小節目)は、平行五度になってますよね。和声的にはNGだと思うんですが。
出ましたね、平行五度。
例えば、1stがC→Dのときに、3rdがG→Aって動くのは、2つのパートが5度の関係を維持したまま動いているので、平行五度・連続五度といいます。
和声学的には、平行五度はNGとされているのです。
平行五度でも、使っていい時とだめな時があります。
!?
まずダメな時。
例えば、オーケストラとかで、いろんな楽器が独立した旋律を弾いて伴奏、ハーモニーを担当してる時に平行五度が出てくると、そこだけ悪目立ちするから、この場合はNGです。
(関ジャムでピアニストの清塚さんがやってた”対位法”のやつや…!)
独立した旋律にわざわざしてるのに、同じ動きをたことが目立つのは良くないよね。
けど、アカペラのコーラスなんかは、そもそも独立した旋律じゃない。
はじめから完全に伴奏としてのラインやから、平行五度が出ても別に気にならないです。
へぇ~!!
もし”それぞれのパートが独立した旋律でハモる”みたいなアレンジの時は、平行五度は避けてください。
あ、そんな難しいアレンジ、絶対することないので大丈夫ですw
三度抜きに続く””禁則犯し””
けど、やっちゃだめな背景がわかれば、やみくもに恐れる必要もなくなりますね。
独立した旋律でハモるアレンジでは、平行五度はNG。ただし、そうでない場合は気にしなくてもOK!
自分でもその後調べてみましたが、平行五度については諸説あるみたいです。
音楽理論ざっくり解説:なぜ連続5度は禁則なのか
作曲と思索の愉しみ:平行5度の禁則についての覚え書き
Q7. リードを回すアレンジのコツを教えてほしい
25小節目のリード→コーラスに変わる瞬間のところで教えてください。
ここは、2ndが1stの上の音を歌っていて、結果その後もしばらくパート入れ替えな状態が続いてるんです。
ここでパートをわざわざ入れ替えているのは、なぜなんでしょうか?
これは、メロディを歌ってた人が「コーラスに代わりましたよ!」って、ハッキリ聴こえすぎないように音をあえて下げてる。
リードがコーラスに変わったのがはっきりわかるのは、なんというか…ダサいです。
マジか!それがかっこいいと思ってやってた!おれの楽譜でコーラス歌ってた人、ごめんw
あと、低い音にして、休ませてあげるってのもある。
さらに優しい…!
リードからコーラスになったら、音下げて目立たないようにするのと、休ませてあげるのは基本ですか?
うん。あとコーラスからリードに代わる前もやね、リードの前後は余裕を持たせてあげたほうがいいかな。
リード回しのアレンジでは、メロディに代わる前後は余裕を持たせる。コーラスに代わった瞬間は、音を下げて、コーラスに代わったことを目立たせない
Q8. 1パートだけ全休符の理由は?
そのあと、27小節目は急に3rdが全休符になるんです。前後がリードになってるわけでもないのに。。これはなんでなんでしょうか?
僕らがやったら完全に印刷ミスですw
これは…3rdの居場所がなくなったから。
4thがメロディ歌ってるから、それの通り道をあけてあげてる。
メロディの通り道…!
メロディに近い音がいると歌いにくいから、ここは歌うとしたらメロディと同じ音をうすーーーくハミングするくらいかな。
「メロディを邪魔しない」は、過去のアレンジ会でも教えてもらったアレンジの大原則。
ただ、メロディの邪魔だからといって”歌わせない”って発想はありませんでした!
居場所がない音は、無理に歌わない。”メロディの通り道があいてるか”を意識
Q9. 全字ハモ(3声以上の字ハモ)の作り方は?
メロディの通り道がないときは、無理に歌わなくていいんですね。
無理に入れても、メロディの人は歌いにくいし、なんもいいことがないからね。
メロディを挟まないっていうのは、基本ですか?
なるべく避けるよね、サンドイッチ状態は。
上2声、メロディ、下ハモでサンドイッチになるときは、下は全然別のことをする。
なるほど。。あ!では、メロディを邪魔しない関連で教えてほしいです。
サビでも使っている”字ハモ”の作り方について、3声以上で全員字ハモのときの正しい作り方を教えてください!
まぁ、”正しい”というのはありません。その場その場で判断します。
聞いて気持ちいいかどうか。
はい。
で、まず考えることとしては、メロディの下でハモるパートをどれだけ離すか。
下を離すんですか?
よく、メロディの下三度でくっつける人がいるけど、これはメロディの邪魔をしてしまう。
メロディを目立たせたいのであれば、最低六度はあけたほうがいい。
六度下ってことは、三度上ハモリのオク下ですね。
その音は、コードの構成音から引っ張ってくるんですか?
そうそう。コードの中で、六度以上離れてる音を選んであげる。
六度あけるなんて、初めて聞きました…
もちろん、すぐ下を歌うラインがおしゃれな場合もあるけど、メロディの邪魔をしてしまうから、
あくまでも、メロディを目立たせた上で厚みを出したいときは、六度以上あけるのが原則やね。
字ハモ原則1:メロディの下は、六度以上離す
どうしても六度あけると、下が窮屈になってしまって、どうして上に置かないといけないときは、
どうするんですか?
メロディと同じ動きをすると絶対に目立つから、極力目立たないようにするために、動かさない。
メロディのすぐ下の音とか、メロディを挟んじゃってるときとか、とにかく目立たせたくない音は動かさないのが鉄則。
そのラインがかっこいい場合もありません?
その下ハモりがどうしてもカッコいいなら、そこは字ハモにしない。二人でハモらせる。
なるほど~!
字ハモ原則2:目立たせたくない音は動かさない(三度下ハモりなど)
ん?でも、この楽譜の場合は上のパートも動いてないんですね。。
これは目立たせたくない音やからやね。
ここ(42小節目)のコードはE♭M7。E♭の音は、B♭から始まるドレミファソラシドていうと、ファにあたるやん?
で、もし2ndをメロディに平行で動かしてしまうと、途中でAの音を歌うことになるんやけど、それってB♭から始まるドレミでいうとシにあたるの。
この”ファ”と”シ”の関係を増4音程っていうんやけど、これは嫌な響きなのね。それを避けるために、ここの2ndは動かしてません。
字ハモ原則3:増4音程(ファとシの関係)ができないように注意
あとは、メロディのオクターブ下を歌わせる「ブロックコード」ってのもよくやります。
これは、良い4thのラインが思いつかなかったときに「逃げのブロックコード」として使ってましたw
あれは、上と下でブロックするっていう、メロディを補強する立派な役割がある。
ブロックコードって名前がついてるくらいやからね。
メロディのオクターブユニゾン(ブロックコード)は、有効な字ハモのひとつ
個人的に、今回のアレンジ飲み会で一番勉強になったのが「字ハモの作り方」
メロディの邪魔をしない、通り道をあけろと言われても、具体的にどうなっていたら邪魔で、どうやって解決できるのかを知りたかったので、今回のお話は具体的でわかりやすくて、とても感動しました!
さて、ここまでの長文を読んでくださった真面目な皆さん、おめでとうございます。
あなたには、”メロディの通り道”を作ってあげるアレンジ技術を授けましょう!
この技術があれば「なんかわからんけど、ここ歌いにくい…」とか言われるアレンジとは、おさらばです!!
Q10. サビのバックコーラスはNGなの?
サビでもう一つ。
添削後の44小節目は、しげアレンジでは、バックコーラスで「Harty Party,Harty Party」って入れてたんですけど、普通のコーラスに代わってるんですね。
これは、何故なんでしょうか?
このフレーズって、あと出てくるやん?
あとでやるのに、先に出すのはもったいないと思って。
た、確かに…!
あとでやることは、先にやらない
Q11. 再現できない楽器のリフはどう切り抜ける?
長時間、ありがとうございます!もう2時間以上経ってますねw
添削後の楽譜は59小節目で終わってるんですが、このあと転調して間奏があるんですね。けど、ここは原曲では楽器のリフになっていて、そのままアカペラで再現しにくいなと、、
そういう場合の間奏って、どうすればいいんでしょうか?
楽器の真似が出来ない場合ってことやね?
はい。
んーまぁ、全部カットしちゃうのもひとつ。
なるほどw
他には、例えばボーカルがシャウト or アドリブソロでいっちゃう。
あとは、コーラスみんなでスキャットを歌うのもありです。とにかく原曲と違うラインをつくっちゃう。
間奏だけプチ作曲しちゃうんですね。
”ハーティパーティ”の場合は、シャウトよりはスキャットがいいかもね。
真似できない楽器のリフは、シャウトやオリジナルのスキャットをプチ作曲して乗り切る
Q12. ひねったエンディングは良くないの?
最後に!しげアレンジは、あえて終わった感のない終わり方にしてみてるんです。おしゃれかなと思って。
これってやっぱりよくないんですかね?
……拍手しづらいよね、終わった感ないから。
あ、あかんやつ!!w
拍手をもらいやすいアレンジについては、前回の記事に詳しく書いています。終わりを予感させる”拍手をもらいやすいアレンジ”を意識しましょう、というお話でした。
あえてこれで終わらせて、お客さんが戸惑ってる間にパーカッションが「ドン!タン!」て入るとか、それならカッコいいけどね。
それにします!!
拍手をもらいやすいエンディングが基本。終わりを予感させるアレンジに
3時間の飲み会を終えて…
今回もひじょ~~~うに、濃ゆい時間を過ごすことが出来ました。潮さんには本当に感謝しかありません。ありがとうございます。
最後に改めて、リード回しアレンジのポイントをお伺いしました。
リード回すアレンジ、混声に限らずですが、なにかポイントをあげるとしたら何がありますか?
そうねぇ、頑張らなくても自然にメロディが目立つようにしてあげることかな。
今日話した「メロディを挟まない」「下は六度以上離す」「目立ってほしくない音は動かさない」とかを使って、きちんとメロディが聞こえるようにしてあげる。
で、パートが入れ替わる前後は余裕を持たせてあげて、コーラスにバトンタッチした瞬間は目立たないように…かな。
あ、最後に言い忘れてた!
どうしてもメロディが一番下を歌わないといけなくて埋もれちゃうときは、メロディの人がちょっっとだけ早く歌いだしてあげるといいよ。
なんと、歌い方の裏技まで教えてもらっちゃいました!(出来るかはわかりませんが!w)
今後のアレンジは、リードの邪魔をしない、メロディの通り道をあけてあげることを大事にしていきたいと思います!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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※後日談※
ベースラインの気持ちいい気持ちよくない然り、コード感然り、やはり「耳を鍛える」「聴こえる音を増やす」というのは大事だよね、というお話をしていただいたのですが、
Twitterで「耳が良くなる音源」なるものがあったと、潮さんにご紹介いただきました。
お試しあれ!
聴覚受容拡大音源「Auditory Booster」体験版を公開しました。
外国語の学習、歌唱学習、楽曲制作、そのほか音を扱う人すべてに体験してもらいたい、耳の受容を高める音源です。
不思議な音源になっていますが、面白い体験ができます。
イヤフォン等を使って聴いてください。https://t.co/VwD0laDa9L— 上野目泰之 (@operametti) January 2, 2020